「生産現場のイベントデータとして異常温度が得られた時、その生データに室温や加工条件といったデータを背景情報として加える。生データと背景データを組み合わせたメッセージをどう解釈するのかは、これまでは現場に熟達した人間の判断に任せるしかなかった。FOAでは、その判断基準を、説明データとしてメタ情報化して元の生データとともに構造化する。それらデータをストック型ではなくフロー型で活用していく。このFOAをフォグコンピューティングと合わせることで付加価値を高めていきたい」(奥氏)
PFIの西川氏は、同社が展開する分散リアルタイム機械学習基盤「Jubatus」とフォグコンピューティングの関係を紹介した。Jubatusは、分散型であり自由に拡張できること、瞬時に深く分析、判断できることなどが特徴で、IoTのデータ分析基盤として活用できるという。
Preferred Infrastructure 代表取締役兼CEO 西川徹氏
同氏によると、IoTで機械が産み出すデータは、より解像度の高いデータになるという。解像度が高いデータほど機械学習の精度も上がり、データの価値を引き出せる。
だが、データの解像度が高くなると、データをクラウドに集約するアプローチは近い将来うまくいかなくなると説明。このような状況に対処するために、PFIは“エッジヘビーコンピューティング”を推進している。これはデータを集約して分析するのではなく、データを1カ所に集めずに深い分析を実現できるというコンピューティング環境だ。
シスコシステムズ 専務執行役員 木下剛氏
「エッジヘビーコンピューティングを実現するためにはクラウドやハードウェアが進化するだけでは不十分だと考えている。必要なのはネットワークのアーキテクチャそのものが進化していくこと。そのために、フォグコンピューティングのレイヤにJubatus、Jubatusを拡張した仕組みを開発していきたいと考えている」(西川氏)
シスコシステムズ専務執行役員の木下剛氏は「フォグコンピューティングを実現する基盤をIOxという形で具体化できたことが大きなポイントだ。今後もシスコのテクノロジだけでなく、IoTアプリケーションパートナーとともに日本でイノベーションを推進していく」と今回の発表の意義を語った。