本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、NECの福田公彦 執行役員と、日本IBMの小池裕幸 執行役員の発言を紹介する。
「基幹システムの需要が新しい領域へ広がっている」 (NEC 福田公彦 執行役員)
NECが先ごろ、企業の基幹系業務やビッグデータ活用などの高信頼基盤向けエンタープライズサーバ「NX7700xシリーズ」を発表した。同社でエンタープライズサーバ事業を統括する福田氏の冒頭の発言は、その発表会見で、今回の新製品投入の狙いを端的に表したものである。
NEC 執行役員 福田公彦氏
NX7700xシリーズは、最大15コアの最新CPU「インテルXeonプロセッサE7 v2 製品ファミリー」を採用し、WindowsやLinuxに対応したエンタープライズサーバで、重要性の高い社会インフラシステムにおけるビッグデータ活用や、既存システムとの高度な連携を容易にさせるための新領域基盤に求められる高性能、高信頼を実現しているという。
福田氏は、今回の新製品投入の狙いについてこう説明した。
「これまでの基幹システムは、統合基幹業務(ERP)、顧客情報管理(CRM)、サプライチェーン管理(SCM)といった定型業務での用途が中心だったが、最近では、ビッグデータを活用した顧客・商品分析や需給予測、あるいはインフラの監視・制御やセキュリティ、スマートエネルギーなど高度化する社会インフラを支えるソリューション基盤など、基幹システムの需要が新しい領域へ広がっている」
そうした中で、「従来の基幹システムに必須だった信頼性はそのままに、新領域の基幹システムを支える先端テクノロジーに対応できる高性能でオープンなプラットフォームが求められている」ことを強調した。
NX7700xシリーズの詳しい内容については関連記事を参照いただくとして、ここでは筆者が最も興味深く感じた点にフォーカスを当てたい。
それは、今回の新製品を同社の垂直統合型システム「NEC Solution Platforms」にも適用し、信頼性・可用性をさらに向上させた「Data Platform for Oracle Database」や、Windows基盤を活用した「Data Platform for Microsoft SQL Server」、SAPのインメモリデータベース「HANA」向けアプライアンスサーバ「NEC High-Performance Appliance for SAP HANA」といったデータ蓄積・解析基盤ソリューションを用意したことだ。
これによって、有力なデータベース基盤であるOracle、Microsoft、SAPのプラットフォームを、NX7700xシリーズ上で利用できるソリューションを一気にラインナップしたわけである。さらにNECではエンタープライズサーバとしてすでに、HPのOS「HP-UX」をベースとした「NX7700iシリーズ」も展開している。こうしてみると、NECのエンタープライズサーバは、グローバルで有力なプラットフォームをすべて取り込んだ全方位戦略に打って出たとも見て取れる。