三国大洋のスクラップブック

ビッグデータと観察--“人間を理解する”ための2つのアプローチ - (page 3)

三国大洋

2014-03-03 07:30

 それに対して、Red Associatesのアプローチは“地上の視点”からのもの――「対象の中に入っていって身近で観察してこそ分かることがある」ということだろうか。Bloomberg TVにある、共同創業者Madsbjergのインタビューに「ビッグデータではわからない消費者に関する事柄(What Big Data Doesn't Reveal About Consumers)」との見出しがついているのは、おそらくそういうことだろう。

 この対照的な2つのアプローチはおそらく相互補完関係にあるもので、時々の課題に応じて、それらをどう使い分けていけばいいのか。企業経営者やクライアントの立ち場で問題になるのは、そうした点で一概に「どちらが優れているか」という議論は意味のないことと思う。あるいは対照的な分野のアイデアに刺激を受けて、自分の専門分野とする製品やサービスを改良していくということも十分あり得るだろう。

 「就職に有利な学問云々」という点に話を戻すと、全般的な傾向として、その時々に有利(または不利)とされる分野が存在するのは間違いない。ただ、同時にそれとはまた違った別の何かも存在する――「役に立たない」と片付けられてしまいそうな人文や社会学の人材を集めて、面白そうな仕事をしているReDの例はそうした存在の証と思える。また、最近よく記事やビデオを見かけるIntelの女性文化人類学者などからも、そうしたことが感じられる。

(敬称略)

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