モノのインターネットの衝撃

ITと社会インフラの統合で新興国向け巨大市場を拓く--日立のIoT戦略(前編) - (page 3)

大川淳 怒賀新也 (編集部)

2014-03-13 07:30

 このほか、日立はインドをグローバル戦略上の重要地域と位置付け、2015年度までに総額700億円を投資し、2015年度にはインドでの連結売上高を2011年度比で約3倍となる3000億円に拡大することを目標とした「インド地域戦略2015」を2012年12月に発表している。

 「社会イノベーション事業を通じてインド社会の中長期的発展に貢献」することが基本方針であり、地産地消型事業の強化、現地企業との連携を強化、インド市場に根付いた営業基盤の拡大などを図る。今後は、鉄道システムや昇降機など、社会インフラシステムの事業を成長させる意向だ。

多様性と安定性が支えるスマートシティ


 同社では、ITを用いてエネルギーや資源などを効率良く使い、同時にそこに暮らす人々が高い利便性を享受しながら快適で安全な生活ができる、スマートシティの実現を目指している。将来の都市では社会インフラの領域でも、新しい事業の発展や出現により、新たにさまざまな事業者が現れると考えられるため、社会インフラを支えるシステムも多種多様な機器、システムを接続していくことが重要になる。

 また、社会インフラには安定供給、安定稼働が不可欠であり、社会インフラを支えるシステムにも極めて高い信頼性が求められる。さらに、都市の成長には規模の拡大と、機能の高度化という2つの側面がある。社会インフラには長きにわたり、安定的に機能を提供し、それを維持し続けることが求められる。障害発生、あるいは経年劣化した場合でも、部分的に改修しながら並行して機能を提供し続けていくことが必要となる。これらが日立の考えるスマートシティの要件だ。

 社会インフラの構築を中心としたサービスは、新興国向けに大きな市場規模になることが見込まれる。いまだ社会インフラが整備されているとは言えない例が多いからだ。先進国でも、すでにあるインフラの老朽化、陳腐化の状況などを見据え、ITアーキテクチャを刷新するプロジェクトが多数出てくると見込まれている。(後編に続く)

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