A10ネットワークスは3月4日、IaaS事業者向けの「aCloud サービスアーキテクチャー」を発表した。同アーキテクチャを構成する製品の一部の提供を同日から開始した。
aCloudは、パブリックとプライベートの両方のクラウドにIaaSを提供するプロバイダーを対象にしている。同社のアプリケーション配信コントローラ(Application Delivery Controller:ADC)を中心にサードパーティーのSDN対応ネットワーク機器、オープンソースソフトウェアの「OpenStack」などのIaaS基盤構築管理ソフトウェアで構成される。これらが連携することで、マルチテナント型のクラウド基盤のL4-7の設定変更を柔軟に変えられるようになるという。
aCloudに対応するADCは、アプライアンスの「Thunder」シリーズとThunderからソフトウェア部分を切り出してハイパーバイザ上で稼働する「vThunder(旧名称:SoftAX)」、ハイブリッド仮想アプライアンス「Thunder 3030S HVA/3530S HVA」となっている。
ハイブリッド仮想アプライアンスは、アプライアンスの中で仮想化技術を活用して複数のADCを稼働させる。aCloud対応ADCは、これらに加えて、パブリッククラウドのIaaS/PaaS「Amazon Web Services」上で稼働させる「vThunder AWS」となっている。これらの製品を利用すれば、テナントのフローごとにL4-7のネットワークサービスのプロビジョニングを動的かつ自動的に展開できるという。
アプライアンス版のThunderでは、オーバーレイ型プロトコルの「VXLAN(Virtual eXtensible VLAN)」や「NVGRE(Network Virtualization using Generic Routing Encapsulation)」に対応している。これらのプロトコルでのネットワーク仮想化向けのカプセル化とカプセル化解除の機能を搭載。分散型サービス妨害(DDoS)攻撃やSSLのオフロードといった機能も搭載している。
ハイパーバイザ上で稼働するソフトウェアのvThunderは、レンタル課金モデル(RBM)とユーティリティ課金モデル(UBM)で提供される。従量課金でIaaS事業者は、L4-7ネットワークサービスを月額形態で提供できる。
aCloudでは、ネットワークを制御する「IBM SDN-VE」や「Cisco ACI」、「Windows Server」のHyper-Vネットワーク仮想化と連携する。今後「VMware NSX」との連携を予定している。クラウド基盤構築管理ソフトウェアは、OpenStackのほかに、Microsoftの「Systems Center Virtual Machine Manager」やA10の集中管理ソフトウェア「aGalaxy」とも連携する。
aCloud サービスアーキテクチャー概念図(A10ネットワークス提供)