IBMで新興技術およびサービスのコンサルタントを務めているHardill氏は、データに含まれているパターン間の関連をつかんだ結果、Bedi氏が夕食に何を食べたのかを割り出せることすらできたと述べた。
同氏は「グラフは夕方にもう少し興味深いものとなった。というのもBedi氏が夕食に何を食べたのかを推測できるようになったためだ」と述べた。
「この急上昇はオーブンの電源が入れられたことを表しており、その後の緩やかな上下動は保温に設定されたことを意味している。その後しばらくしてから、湿度の大きな変化を伴った電力使用の急上昇があるが、これは電気ポットの電力使用パターンとは異なっている」(Hardill氏)
「このためわれわれは、パスタをゆでるために鍋でお湯を沸かしていたのではないかと判断した。そして、夕食はミートボールスパゲッティだったと推測した。少し後で同氏に尋ねてみたところ、『先週確かにミートボールスパゲッティを食べたと思う』という答えが返ってきた」(Hardill氏)
こういった洞察は、食べたものだけにとどまらない。IBMによると、家庭のセンサ類のネットワーク化により、(二酸化炭素レベルの変化から)各部屋におよそ何人の人間がいるのかや、(一酸化炭素量の変化から)誰かがタバコに火を付けたかどうかを推測できたという。
室内の二酸化炭素量といった、一見すると何の変哲もないデータから何が分かるのかという疑問は、スマートメーターや、その他のネットワーク化された小型の低消費電力センサが家庭に普及するにつれてより重要になってきている。
Googleはスマートホーム技術がビッグビジネスになることに賭けており、ネットワーク化できるプログラム可能なサーモスタットや、煙や一酸化炭素の検知器を製造しているNest Labsを最近になって32億ドルで買収した。
ホームセンサ技術を用いたIBMの実験により、このような一見すると分かりにくく重要度の低いデータでも、まとまると住人のさまざまな行動を読み取れるということが分かった。