センサのネットワークを利用した介護支援の時代がやってくる?
IBMは、センサのネットワークによって得られるこうした洞察をいかに日々の生活に役立てられるかについての検証を続けている。イタリアのボルツァーノ市は約4年前、社会医療コストを大幅に増大させることなく、在宅高齢者のケアを充実させる方法を探し求めていた。
Hardill氏は「ボルツァーノ市の目標は、イタリアの高齢者が老後の生活を快適に送れる場所、すなわちできる限り長期にわたって独立した生活を営みながらも必要な支援が得られる場所になるというものだった」と述べた。
この目標の達成に向け、同市はIBMのHuman Centric Solutionsチームの協力を得て、30軒の住宅に、煙や一酸化炭素、二酸化炭素、室温、湿度、漏水を検出するセンサのネットワークを設置した。これらのセンサは、ZigBee規格のワイヤレスアダプタ経由でセンサからのデータを受け取る「GuruPlug」に接続されており、取得されたデータは3Gモデムを介してIBMと市に送信されるようになっていた。
これらのセンサからのデータは分析され、住民の様子を確認する業務を担う市職員へのアラートを生成するために使われた。アラートは、職員が携行している「Android」携帯に送信された。
Hardill氏は「アラートの迅速さは、例えば水漏れがあった場合、水が流し台の床に漏れ出す前に、近辺にいる担当職員がドアをノックできるくらいだ」と述べた。
Hardill氏によると、このシステムが「興味深いものとなった」のは、IBMがセンサからのデータの傾向を見出し、その家で何が起こっているのかを推論できるようになった際だったという。
同氏は「二酸化炭素センサがその好例だ。二酸化炭素のレベルを監視すれば、部屋の使用状況を判断できる。徐々に上昇し始めたのであれば、人の数が増えたと推定できる」と述べた。