各住人の日々の生活パターンを見つけだしておくことで、IBMは住人である高齢者が通常とは異なる振る舞いをした際に、担当職員へのアラートを生成できるようにすらなった。
Hardill氏は「このようなシステムをしばらくの間、実行し学習させると生活体系(の概要)を作り上げられる」と述べた。
「ボルツァーノ市での成果の1つとして、例えば25番のSmith夫人の朝は通常8時30分から始まり、まず朝食のために電気ポットとトースターのスイッチを入れ、その後新聞を読むことが分かったとしよう」(Hardill氏)
「9時30分までに電気ポットとトースターに相当する電力の急上昇が見られない場合、問題がないかどうかを尋ねることができるだろう。またその際、ベッドルームの二酸化炭素レベルを確認し、夫人がリビングルームに移動したかどうかを確認できるのではないだろうか?」(Hardill氏)
「われわれはまず、職員向けのより穏やかなアラートを生成することにした。つまりその時々に応じて、何も問題が起こっていないかどうかをチェックさせるというわけだ」(Hardill氏)
「これは小さなアラートと言える。人は常にパターン通りに生活するわけではないため細心の注意が必要なのだ。例えば、Smith夫人が週末に娘とどこかに外出するという事実を職員が知っているのであれば、この時点では何もする必要がないわけだ」(Hardill氏)
「しかし、職員に対するこういった穏やかなアラートによって、住民に対してより注意を払えるようになる」(Hardill氏)
このパイロットプロジェクトの対象となった高齢者の3分の2は、QOL(生活の質)が向上したと報告し、ボルツァーノ市は高齢者の支援コストを31%削減できたと報告した。
IBMは現在、常時動作するセンサシステムが家庭の健康支援にどのように利用できるのかについて研究する、ブリストル大学が主導する数百万ドル規模のプログラムに参加している。
イタリアのボルツァーノ市において実施された、ホームセンサネットワーク研究の参加者たち
提供:IBM
Hardill氏は、ボルツァーノ市における高齢者の生活調査に適用した分析や、こういったセンサが家庭に導入された際に適用できるさまざまな分析には、コンピュータシステムが陥りそうな落とし穴を洗い出すためのアルゴリズムが共通していると述べたものの、対応が必要なのはハードウェア側ではなく、人間側であると付け加えた。
「これは工業分野における故障予測解析と同様のアルゴリズムを採用している。ただその対象は厳格な工業システムではなく、人間であるため、少しばかり境界線をあいまいなものにしている」(Hardill氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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