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ビジュアルコミュニケーションで働き方や生活を豊かに--ブイキューブ 間下社長 - (page 2)

大川淳 山田竜司 (編集部)

2014-03-06 18:25

--オンラインによるセミナーは、なぜ利用されているか。

 遠隔教育というのは、学習効率が悪くなるとの思い込みがありますが逆のケースがあるのです。ある証券会社の場合、ファイナンシャルプランナーの資格試験のための講座を開いたものを、オンライン化しました。もともと、その会社は出張コスト削減のために、ウェブ会議システムを導入したのですが、講座のオンライン化以降、試験の合格率は3倍になりました。

 すごくやる気がある人の場合は、間違いなくリアルでの講座の方が向いているようです。しかし、そうでない人は、座学よりもオンラインの方が効果は高い。というのは、授業を聞いていないとばれてしまう。聞かざるを得ない仕組みがあるからです。オンラインでは、バーチャルですが、実は、先生と生徒の距離が近くなります。30~40人の教室で、後ろの方にポツンと1人で座っているのとは違って、画面上で1対1になっていると感じられるため、より集中できるのです。教える側からレスポンスを求められるので、応えなければ聞いていないことがばれてしまいます。この結果には、われわれも驚きましたが、効果は高かったのです。実際、教室に集まって勉強するより、効果は高かったことが立証されたのです。

“バーチャル同行”のメリット

--市場の成長性について、どう見ているか

 このサービスは、国内では市場規模が100億円ほどなのですが、2020年までには1000億円くらいになるとの予測もあります。米国ではすでに1000億円を超えるといわれており、国内でも大きく成長する可能性はあるでしょう。リーマンショック直後から問い合わせが10倍に増えました。最近の問い合わせ数は、2008年頃と比べると、25~30倍に伸びています。われわれの市場シェアは37%ほどであり、6年連続で首位を獲得しています。

--なぜ好調なのか。

 単なるウェブ会議システムでは差別化できないので、バラエティある取り組みによるものでしょうか。会議用途は、売り上げの50%程度です。ウェブセミナー関連では、あまり競合する相手はいません。外に目を向けると、日本やアジアとでは、コミュニケーション文化が異なるため、プライオリティに違いがあります。当社のサービスは、外資系の製品より国内でのコミュニケーションによく馴染むとの評価があり、シェアの差につながっているとみています。

--ユーザー企業はどのように活用しているのか。

 鉄道会社の例ですが、現場にiPadを導入して、何らかの問題が発生した場合、現地の状況の画像を送って参照し、会話しながら管理者側が業務の指示を出すというものです。複数の地点で同時につなぎ、専門家や管理者が見ることができるのです。工事管理者などは人数が限られているので順次、現場を回らなければならなかったのですが、この手法なら現場に行かずとも状況をリアルタイムで見て指示を出せるわけで、管理者の移動時間を削減し、効率化できます。いわば、バーチャル同行といえます。われわれのバーチャル同行の場合、営業担当者が、顧客を訪ねる際、私が現場にいけない場合でも、ノートPCの画面から会話できます。国内でもシンガポールでも、どこにいても、可能です。

 実際、足を運んでいる担当者は何も言わず、私がタブレットから顧客とずっと話をしていたこともあります。ある金融機関では、例えば住宅ローンを扱う場合、営業要員は法的あるいは税務的なところまでは、なかなか完全には説明できません。そこで、弁護士や税理士がタブレットを通じて説明するわけです。専門家は多忙で、なかなか実際に足を運んでくれません。そこで、この手法は重宝されています。バーチャル同行は、モバイルデバイスの進化と、回線の高速化により本格化してきました。この1年で大きく伸びており、今後、さらに成長が期待できます。

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