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ビジュアルコミュニケーションで働き方や生活を豊かに--ブイキューブ 間下社長 - (page 4)

大川淳 山田竜司 (編集部)

2014-03-06 18:25

--現状抱える課題は。

 このビジュアルコミュニケーションを理解してもらうことです。この種のサービスはいまだ完全な市民権を得ているとはいえません。国内には421万の企業があるのですが、大半は零細規模であり、中堅は53万、大手は1万2000です。当社は、大手中堅をターゲットにしていますから、対象となるのは54万~55万社ですが、1万社しか導入していません。54万社のうち1万では数%でしかありません。その1万社も、とりあえず部門で一部導入したという段階のところが多く、まだ広がる余地はあるともいえますが、新しいものを嫌う向きは結構多いのです。


 導入企業での継続率は高いのですが、ウェブ会議をやめる例では、導入したが誰も使わない、拠点がなくなったという理由が最も多くなっています。まだまだ、啓蒙活動が足りないと思っています。競合とどう違うかいう点を訴求していけばいいのなら、むしろ楽でしょう。それよりも、パソコンに詳しくない人にも使いやすくなるようにといった工夫が求められています。ITリテラシーの高い人は数%しかいません。もっともっとオフィスで働く普通の人々に使ってもらえるようにしなければなりません。

ウェブ会議システムを組み込んだ業務が普通に

--今後の事業をどのように考えるか。

 全体の成長戦略は3つの柱があります。1つ目は国内シェアの拡大です。潜在市場を掘り起こします。2つ目はアジアを中心とする海外展開の拡大です。3つ目は“1対N対N”のプラットフォームモデルの展開です。まず国内では、業界再編型のM&AあるいはOEMを考えています。この領域では、小規模のところは製品力が乏しいため、われわれのOEMを受けてもらえばいいのではないかと思います。M&AやOEMも含め、さらにシェアを大きくしていきたいと望んでいます。

 通信キャリアとの提携、セールスフォースやサイボウズなどSaaSとの連携で、さらに顧客を取り込んでいくことも考えています。サービスの提供では、業界特化型モデルを推進して金融や医療に特化したものを用意しています。金融向けでは、チームを作って、ソリューションをパッケージ化しています。金融機関の場合、多用される使われ方はわかっているので、それをパッケージ化し、横展開していくことが軸になります。

 アジアでの展開では、進出国をさらに増やし、いまだ営業資産を投下できていないところにも投入し、深耕していきます。例えば、タイでは、ビジュアルコミュニケーションを危機管理で使うことができます。洪水などの災害時の政府機関の連絡などに用いています。また、自動車メーカーにも販売しているのですが、中国では、上海にあるGM(General Motors)が、バンを売っています。そこでは、3G回線とライセンスを搭載した車も販売しています。VIP向けの車で、社内からネットに接続してテレビ会議ができるもので、高い人気を得ています。車が渋滞に巻き込まれても、どこにいても会議ができるということで訴求しています。

 そして、1対N対Nは、オンラインで塾を開くということが誰でも簡単にできる基盤ということで「V-CUBE マーケット」という課金から集客、ユーザー管理までが可能な仕組みを整えました。従来、企業に対してサービスを提供してきたのですが、今後は、企業を通じながらも、対個人もしくは従業員向けにもサービスを展開していくことで、さらに市場を拡大していきたいと思います。

--5年先をどのように見ているか。

 いま、うちの社内で実際にやっていることを、一般的に、当たり前にやるようになる会社が増えるのではないでしょうか。多分、5年くらいでは特殊なことは起きないと思います。使い方の観点で、ウェブ会議のようなものを活用して業務をするのが当たり前になってほしい。いまの時点では、これを活用している会社はかなり先進的ということになります。タブレット端末も4年前くらいに出て、ようやく今の程度までになっているわけで、今まだ世に出ていないものは5年後くらいでは爆発的にはなっていないでしょう。

--ウェブ会議システムはどう進化していくのか。

 新しい発想としてはロボットを使った“動くウェブ会議システム”というのがあります。現状をみると、ウェブ会議システムでは、画面が壁にかけられていたとしたら、その画面上に映し出されている参加者は"除け者"のようにみえるかもしれません。しかし、すぐそこに座っているように見えたら、相当にイメージが変わります。そうした、物理的な存在感を醸し出すこともコミュニケーションでは重要になります。実際、そういうことができるものも出始めています。

 その一つとして“動くウェブ会議システム”は、遠隔操作でき、カメラの高さも変えられます。このようなものがビジネスになるかどうかはまだわからないのですが、こんな発想も将来的には可能性のある要素の1つとしては考えられるのです。いずれにしても、われわれは挑戦し続けています。ビジュアルコミュニケーションツールを通し、ワークスタイルやライフスタイルをより豊かにしていきたいと思っています。

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