通信のゆくえを追う

通信キャリアの競争優位性--固定網の優劣がカギ

菊地泰敏(ローランド・ベルガー)

2014-03-17 07:30

 これまでの連載記事で端末やアプリケーション、さらに通信と放送との関係性などについて考えてきた。今回は、これらのすべてを支える、通信の基本であるネットワークについて考えてみたい。現在はモバイルの全盛期である。モバイル、すなわち無線、というように考えがちであるが、モバイル通信もその多くを有線通信に依存している。

 携帯電話で誰かと話すシーンを例に、基本的な携帯電話のネットワーク構成を考えてみよう。

 端末と無線でつながっているネットワーク設備を基地局という(ついでに言うと、端末には「移動局」という正式名称がある)。この基地局は通信事業者(キャリア)のバックボーンネットワークにつながっている。バックボーンネットワークは各種の伝送装置(光や電気による信号を遠隔地に送信する装置。複数の信号を1つの媒体に多重化する装置も含まれている)で構成されており、相手端末のつながっている基地局までデジタル化された音声信号が伝達される。基地局から相手側の端末部分は無線である。

 ここから分かるように、端末、無線、基地局、有線のバックボーンネットワーク、基地局、無線、端末という構成になっているのであり、いわゆるラストワンマイルのみが無線なのである(端末とキャリアを結ぶ、ネットワークの末端部分。おおよそ1マイル程度であることから、このように呼ばれる)

スマホでSNSの際のネットワーク構成

 スマホでSNSサービスを利用する場合のネットワーク構成はどのようになっているであろうか。

 上述のとおり、端末から基地局は無線である。その後、キャリアの有線のバックボーンを経由し、SNSサービスを提供している事業者のサーバに接続される。すなわち、この場合は片端のみが無線でつながり、もう片端(サーバ側)は有線のネットワークのみで構成されるのである。

 このように、モバイル全盛の時代においてもすべてのネットワークが無線であるわけではなく、むしろその高速化と大容量化に対応するために有線ネットワークが大きな役割を果たしているのである。

 キャリアが競争優位性のあるサービスを提供するためには、固定網の優劣が非常に重要になってくる。

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