マカフィーは3月11日、2013年の事業統括と2014年の事業戦略に関する説明会を開催。同社代表取締役社長のJean-Claude Broido氏は、「セキュリティ市場の平均成長率は8%だが、われわれはコンシューマーとエンタープライズの両事業で15%の成長を達成した」と堅調ぶりをアピール。2014年も「2桁成長を実現する」と強調した。
同氏は、日本企業のセキュリティに対する投資額が増加傾向にあると指摘。特に官公庁や大規模企業ではその動向が顕著であり、同社のエンタープライズ事業では、政府機関や大型法人顧客向けのアドバイザーサービスが好調だったという。
マカフィー 代表取締役社長 Jean-Claude Broido氏
「すべての企業にとってセキュリティ対策は最優先課題。マカフィーはグローバルにビジネスを展開しており、(100%子会社であることから)Intelのフルサポートも提供できる。こうした優位性と高度な技術力が日本の顧客に受け入れられた」(Broido氏)
コンシューマー事業では、NTTドコモやソフトバンクモバイルのスマートフォン向け製品が好調をけん引。モバイルセキュリティユーザーは1000万人を突破した。1ユーザーライセンスでマルチデバイスで利用できる「McAfee LiveSafe」の販売数も大きな伸びとなった。売り上げの50%は、コンシューマー事業が占めるという。
2014年の事業戦略は、2013年に堅調だったアドバイザーサービスやモバイル分野に継続して注力するとともに、コンサルティングによるエコシステムの開発やセキュリティ情報イベント管理ソフトウェア「McAfee SIEM」、ゼロデイマルウェア検知アプライアンス「McAfee Advanced Threat Defense」、次世代ファイアウォールといった製品ラインアップを拡充する。SIerや販売パートナーがセキュリティ導入を検討している顧客の要望に迅速に対応できるよう、パートナー支援も強化する。
親会社のIntelが「McAfee」を「Intel Security」に変更すると発表したことについてBroido氏は、「今後われわれは『インテルセキュリティ部門』という位置付けになるが、これは組織の変更というよりブランドの変更だ。ブランド名が変更されても、顧客との関係や製品戦略に変更はない。Intelは世界的なIT企業であり、ブランド力も高い。(IntelとMcAfeeの)技術力とブランド力で、市場におけるプレゼンスをさらに拡大していく」と語り、ブランド名変更のシナジー効果を強調した。
マカフィー サイバー戦略室兼ガバメントリレーションズ室長 本橋裕次氏
説明会では、2014年の脅威予測も発表された。
同社サイバー戦略室兼ガバメントリレーションズ室長の本橋裕次氏は、2013年の国内での脅威について、そのほとんどがドライブバイダウンロード攻撃であったことを指摘。「大規模企業のウェブサイトも改ざんされるなど、深刻な被害が多かった」と振り返った
2014年に予想される脅威は「モバイルマルウェアによる攻撃増加」「犯罪組織や国家による高度なサイバー攻撃」「BIOSなどOSより下位層の脆弱性を狙った攻撃」などが顕著になるという。実際、すでにクリミア半島の携帯電話会社が大規模なサイバー攻撃を受けるなど「サイバー戦争とも言える高度な攻撃が行われている」(本橋氏)。こうした攻撃は今後もさらに高度化し、既存のセキュリティ対策を回避する技術も広まる懸念がある。
こうした攻撃への対策として本橋氏は、データ分析の必要性を説く。「現在の情報セキュリティが直面している課題は(ホワイトリストやブラックリストでは判別できない)グレーなペイロードを認識して対処することだ。そのためには、複数のセキュリティ技術を実装し、攻撃情報を一元的に集約した上で脅威評価サービスと併用する必要がある」(本橋氏)という。
McAfee Labsが予測した2014年のセキュリティ脅威