早稲田大学理工学部経営システム工学科とアクセンチュアは3月12日、日本企業のグローバル化ランキング「グローバリゼーション・インデックス」を発表した。東証一部上場企業の売上上位20社を対象に、海外売上比率、海外資産の割合と直接対外投資金額、海外人材の登用、売り上げ全体の伸びという4つの要素に基づき算出した。
上位10社はトップの日産自動車をはじめ、自動車関連企業が4社と高い比率となった。その一方で、グローバルで事業を展開する企業の事例と比べ、日本企業の遅れも目立ち、収益に関してもアジア各国で比較すると、満足度が低い結果となっている。
プレゼンスが徐々に低下する日本企業
早稲田大学 理工学術院教授 大野髙広氏(工学博士)
調査は、同学科の大野研究室が公表されている4つの要素に基づいてランキングを算出。その結果に対し、アクセンチュアが考察を加え日本の先進企業の事例からグローバルでの持続的な成長を実現する取り組みの方向性をまとめた。
「インデックスモデルは、中味が分からずブラックボックスになりがちだが、今回の調査は、専門家でなくても誰にでも分かるものを作ってみた。使用したのは公開データだけなので、調査の限界はあるものの、大きな流れをつかむという点では外していない」(早稲田大学 理工学術院教授で工学博士の大野髙広氏)。上位10社は表の通り。
1 | 日産自動車 |
---|---|
2 | 武田薬品工業 |
3 | トヨタ自動車 |
4 | TDK |
5 | 本田技研工業 |
6 | ブリヂストン |
7 | ダイキン工業 |
8 | 野村ホールディングス |
9 | 三菱商事 |
10 | 国際石油開発帝石 |
上位10社は総売上の半分以上を海外で達成。11位から100位までの企業の海外売上比率が46%なのに対し、上位10社平均は63%となっている。固定資産税についても約半分が海外所有で、従業員も半数以上が海外在住。売り上げの伸びについてもグローバルで売り上げを拡大させている。
業界別では、自動車・自動車部品業界は売り上げの大半が海外からで、グローバル化が最も進み、先進企業は差別化、競争力維持に向けて持続的なイノベーションを進めている。
電子部品・半導体業界でも売り上げのグローバル化が最も進んでいる業界で、主戦場を売り上げの上下が激しい消費者向け商材から自動車のような分野などポートフォリオの多様化が進められている。
医薬品業界はグローバル化への取り組みは遅かったものの、近年の海外投資規模は大きい。従来のビジネスモデル変革で価格圧力への対応、特許の影響での金銭的影響を最小化する試みが展開されている。
アクセンチュア 戦略コンサルティング本部 マネジング・ディレクター 石川雅崇氏
こうした日本企業の取り組みに対し、アクセンチュア 戦略コンサルティング本部 マネジング・ディレクターの石川雅崇氏は「90%以上の日本企業が海外事業に高い投資意欲をもち、特にリーマンショック回復以降は積極的に投資している」を現況を解説した。
「その一方で、別な調査ではアジア各国の中で海外投資に対するリターンに満足する企業の割合が日本は一番少なく、“Fortune Global 500”にリストされる企業は10年間で20社減、インターブランドの“100 Best Global Brand”にリストする企業は7社にとどまるなど、プレゼンスが徐々に低下している事実もある」と石川氏は指摘した。