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仮想化関連の製品などを展開するシトリックス・システムズ・ジャパンは、日本に進出して15年になる。同社では2014年度、モバイルワークスタイルを活用する“Work Better”、社会的責任を担う“Live Better”をテーマに掲げている。モバイルワークの可能性と市場について、代表取締役社長のMichael King氏に話を聞いた。
--日本企業のIT部門は、BYODなどモバイルワークをあまり推奨していないというCitrixの調査がある。
代表取締役社長 Michael King氏
世界的に2つの大きなトレンドがあり、これには日本も逆らえないと思っています。企業シーンでも“出荷台数でスマートフォンやタブレットがPCを上回る”ため、PCだけで仕事をする人がどんどん減っているというのが1つ。
もう1つは“場所にとらわれずに仕事をできる環境をつくる”というものです。日本の場合はモバイルワークが現実的でないと思う人がまだまだいるのだと思います。
われわれの人事部のマネージャーは山梨県に在住しており、2月の大雪の際には被害に遭いました。しかし、われわれが“あらゆるネットワーク、クラウドを利用する、あらゆるデバイスに対し、セキュアなアプリ、データ、サービスを一体化したもの”と定義するコンセプト「Mobile Workspace」に基づいたシステムを活用していたため、予定通りのプレゼンテーションをこなしてもらうことができました。会社にいるのか家にいるのかを考えるまでもなく、仕事をこなしてもらえたのです。
日本企業は人事やセキュリティなどの問題があり、一夜にしてモバイルワークの環境を構築することは難しいでしょう。
しかしいくつかのステップを踏んでいけば、モバイルワークを日本に浸透させるのは十分に可能だと思います。IT部門がノートPCを会議に持って行くように指示している会社があると思います。これもステップの1つです。
--米Yahooの最高経営責任者(CEO)のMarissa Mayer氏は在宅勤務を禁止した。面と向かったコミュニケーションの方がいいとも言われている。
まず、企業にとってモバイルワークの価値は、災害など不測の事態に備えられるようなインフラを用意しておくことで、従業員に仕事をするのが会社だけではないという選択肢を作ることができる点です。業務を継続できる手段の1つとして考えてもよいかもしれません。
山梨県に住む人事部マネージャーにモビリティを提供したのは、豪雪を予想していたからではありません。どこでも仕事ができるという、いわば保険のような価値を示した例だと思います。この選択肢は育児をしている女性にも仕事の柔軟性を提供できます。
われわれが掲げる「Work Better=効率を挙げて」「Live Better=よく生きる」を日本企業は目指すべきです。モバイルワークが対面のコミュニケーションに置き換わるとは一切考えていません。