ハイジャッカーが旅客機と乗客を長期にわたって隠し通したり、だれにも目撃されずに滑走路や空港を利用することもほぼ不可能だ。さらに、同機のハイジャックに関する犯行声明を出すグループも現れていない。
370便が海に墜落したと仮定した場合、航空機用救命無線機(ELT)が信号を発信するはずだ。ただし、あいにくELTは防水ではない。フライトレコーダー(ブラックボックス)に搭載されている水中ロケータービーコン(ULB)も、水面に接触した瞬間から信号を発信する。どちらの発信システムもバッテリーを内蔵しており、電源トラブルの影響を受けない。
ただし、Frost & Sullivanは、同機が自動救難信号を発信したとしても、だれにも認識されなかった可能性があると指摘する。救難信号を受信できる設備が、信号の到達範囲に存在しなかった可能性もある。
航空機の墜落は、15分という短時間内に発生することが多く、墜落の5~10秒前に初めて操縦士が危機に気付くケースもある。航空交通管制官が異常を発見し、姿を消した航空機を探し始めるのは、早くても異常が発生してから30分ないし1時間後だ。そのときには、ビーコンは水中深く沈んでしまっているかもしれない。
ULBが発信する信号の到達距離は、数百マイルに及ぶ。ただし、ブラックボックスが残骸に覆われていたり、海底の溝に沈んだりした場合、信号の強度は下がり、到達範囲も狭くなる。
ブラックボックスのビーコンのバッテリの持続期間は28日だ。バッテリが切れる期間内に事故機が見つからない場合、残骸を探し出し、発見時の状況を手がかりに捜索を進める以外に望みはなくなる。
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