本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、米Red HatのJim Totton バイスプレジデントと、富士通の合田博文 執行役員の発言を紹介する。
「Red HatのLinuxはオープンハイブリッドクラウドの基盤になりつつある」 (米Red Hat Jim Totton バイスプレジデント)
米Red Hat バイスプレジデント Jim Totton氏
レッドハットが先ごろ、同社のLinux事業戦略に関する記者説明会を開いた。冒頭の発言は、来日して会見に臨んだ米Red HatのLinux事業責任者である Jim Totton(ジム・トットン)氏が、「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」の進化について語ったものである。
レッドハットは会見で、日本国内でのRHELの販売戦略について、2014年は「成長分野へのフォーカス」「新ソリューションの提供」「エコシステムの拡充」といった点に注力することを明らかにした。
成長へのフォーカスでは具体的に、「仮想環境上でのゲストOSとしての販売」「クラウド上への販売」「他のプラットフォームからのマイグレーションの強化」「組み込み用途でのInternet of Things(IoT)への対応」の4点を挙げた。
また、新ソリューションの提供およびエコシステムの拡充については、「アドバンスドミッションクリティカル(AMC)」「ビッグデータ(Big Data)」「クラウド(Cloud)」「データセンターモダナイゼーション(Datacenter Modernization」という4つの分野の頭文字からなる“ABCD戦略”を説明した。
これらの国内販売戦略の詳細については関連記事を参照いただくとして、ここではTotton氏が語ったRHELの進化に注目したい。
Totton氏はまずIDCの調査をもとに、グローバルでのサーバOSの普及状況として、LinuxがWindowsとともに“2強”になりつつあるとし、その有償Linuxの中でRHELが65.4%(日本では85%、いずれも2012年実績)のシェアを保持していると説明。その上で同氏は、RHELの進化についてこう語った。
「これまで12年の歴史を経てきたRHELは、OSとして当初は物理環境のみを対象としてきた。その後、仮想化環境にも適用可能となり、クラウド時代を迎えて、OpenStackとの連携によるIaaSへの対応をはじめ、JBossなどのミドルウェア群をベースにPaaSへも対応できるようになってきた。これはすなわち、RHELがオープンハイブリッドクラウドの基盤になりつつあるということだ」