触れる可視化--データビジュアライゼーションとは何か(後編) - (page 2)

矢崎裕一

2014-05-21 07:30

ジャンルごとにデータビジュアライゼーションの事例を紹介

 デザインやコーディングはメタなスキルのため、さまざまなジャンルに適用可能です。個別のジャンルの専門知識はもちろん厳然と存在するものの、それをデザインやコーディングとして実装するコアの部分は共通のものがある場合があります。

 そこである種の創発や化学変化が発生する可能性があります。一口にデータビジュアライゼーションといってもジャンルごとに見えてくる景色が異なるので、概要がわかるようなウェブサイトや書籍を一部紹介します。

データジャーナリズム

 New York Timesでは米国でオープンガバメントが始まる少し前からデータビジュアライゼーションの研究所を立ち上げ、継続的に試行錯誤を繰り返してきたため質の高い事例が多く、評価されています。

 The Data Journalism Handbookは、英米のメジャーなメディアの現場の人たちが48時間ワークショップで顔つき合わせてでき上がった書籍です。これは実践的なノウハウの共有を目的としたものですが、すでに2011年の話です。

 有志による日本語訳出の完成が待たれるところです。日本では導入前夜という感じで、大手新聞社でも取り組みが具体的に表に見える形で出始めています。

 ジャーナリストという立場からは必ずしもデータビジュアライゼーションは必須なものとは捉えられておらず、説得的だったりストーリーテリングにならない場合には必要がないという判断をするケースもあるようです。

位置情報


ソーシャルメディアが使われている位置情報を可視化

 位置情報と言えばサンフランシスコのデザインスタジオStamenです。

 位置情報データは地図にプロットされることが多く、多様な実装手段と表現手段を身につけた彼らは、多様なウェブサービスの地図部分をインフラをまかなうFoursquareと、デザインをまかなうStamenという地位を確保しつつあると感じます。

複雑系

 書籍『ビジュアルコンプレキシティ』では、古来より分類のシステムとして使われてきたツリーモデルから現代のネットワークモデルまで、約300点におよぶ作品を収集整理するとともに今日の情報化社会を描写するための新しい言語〈ネットワークビジュアライゼーション〉の魅力と可能性を探求しています。

 この本ではツリーモデルからネットワークモデルへの転換がドラマティックに語られますが、東洋の文化圏ではもともとネットワークモデルが主流だったという指摘もあります。

シビックハック、オープンガバメント

 Code for Japanは日本で本格的に始まったムーブメントの1つです。政府や行政などの課題をインターネットを用いて解決する取り組みです。市民(Civic)の持つ課題を、テクノロジで解決する「シビックハック」におけるデータビジュアライゼーションは公共問題の可視化、顕在化に使われることでしょう。

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