IDC Japanは4月2日、国内通信サービス市場の予測を発表した。2013年は、固定音声通信と法人向けWANなどのサービス が前年比で減少した一方、モバイル通信、固定BB、VoIPなどのサービスについては増加し、全体としては前年比成長率0.2%増の11兆3158億円になると予測する。
IDCでは国内の固定音声通信、法人向けWAN、モバイル通信、固定BB(ブロードバンド)、VoIP(Voice over Internet Protocol)の5つサービス市場の合計を「国内通信サービス市場」と定義している。
固定BBやモバイル通信は、市場の飽和や価格競争の継続的な高まりにより、それぞれ2014~2015年に縮小に転じるとIDCでは予測する。通信事業者は通信サービス収益の減少を最小限に食い止めると同時に、サービス価値を維持させるための設備投資に関する資本的支出「CAPEX」(Capital Expenditure)や運営費「OPEX」(Operating Expense)の合理化に向けた施策を講じる必要性があると提言した。
IDC Japanはモバイル通信サービスに求められる施策として、VoLTE(Voice over Long Term Evolution)の品質制御による差別化や、基地局設備を通じたユーザーのネットワーク利用体験の向上を挙げた。
さらに固定BBサービスには、Wi-Fiインフラを通じたモバイルトラフィックの負荷分散、屋内の位置情報を活用したユーザー行動分析が必須であり、ネットワーク機能の仮想化技術を活用したインフラコストの削減も視野に入れる必要があると説明した。
法人向けWANサービスに求められる施策としては、中堅中小企業市場に食い込み、通信事業者は自社のWANのクラウド向けの機能を強化し、主要なクラウド事業者と相互連携する体制が求められると指摘している。

合計11兆3158億円 国内通信サービス市場 2013年の主要カテゴリー別市場規模 IDC提供