法務省は、市区町村の戸籍の“副本”データを管理する戸籍副本データ管理システムを構築、2013年9月から管理を順次開始、この3月から一部を除くすべてのシステム稼働が開始した。日立製作所が4月3日に発表した。
戸籍は、戸籍法で正本と副本を設けることが定められている。正本は各市町村が管理、副本はこれまで市区町村と近接する管轄法務局(地方法務局、その支局)で保存されていた。戸籍が災害でなくなった場合などは、同じ内容の戸籍を副本から再製することになっている。
2011年3月の東日本大震災では宮城県や岩手県の4市町の正本が津波で被害に遭い、管轄法務局などに保存されている副本で戸籍を再製できた。だが、副本が近接地に置かれているため、大規模災害時には正本と副本が同時になくなる恐れがあった。
今回構築されたシステムは、こうした事態に備えたもの。各市区町村とネットワークでつながれた全国2カ所の戸籍副本データ管理センターで管理、市区町村と管轄法務局が同時に被災するような大規模かつ広域な災害時でも戸籍の完全消失を防ぐ。
副本データは従来、市区町村から1年に1度管轄法務局に送付されていたが、今回のシステムで市区町村が持つ最新の副本データを日々、地方公共団体を相互に接続する専用の「総合行政ネットワーク(Local Government WAN:LGWAN)」経由でセンターに送信する。これにより、センターの副本データは最新の情報に更新されるため、万が一災害などで市区町村のデータがなくなった場合でも、前日までの戸籍を迅速に再製できる。
システムには、日立の「ADWORLD戸籍総合システム」、公共機関向け電子字典「五萬悦」、日立公共システムの漢字統合管理システム「漢字かなめ」、日立ソリューションズの大容量高速ファイル転送サービス「活文 デジ活ワイド」が採用されている。
システムの概要(日立製作所提供)