プライスウォーターハウスクーパース(PwC)は4月4日、ブーズ・アンド・カンパニー(Booz & Co)とのグローバルな統合手続きが完了したことを受け、日本でのコンサルティングビジネス体制を説明した。
Booz & Co日本法人はプライスウォーターハウスクーパース・ステラテジーに社名を変更し、独立した法人として共同のコンサルティングビジネスを展開する。原則として既存のサービスは継続する。グローバルでは、Strategy&(ストラテジーアンド)に社名を変更しており、長期的にはPwCと統合する方針だという。

プライスウォーターハウスクーパース 代表取締役社長 椎名茂氏
統合の狙いについて、プライスウォーターハウスクーパース代表取締役社長の椎名茂氏は「インパクトのある差別化された付加価値の高いサービスを提供すること」と説明した。両社がこれまで行ってきた最高経営責任者(CEO)やシニアエグゼクティブへの意識調査では「半数以上のシニアエグセグティブが自社に勝てる戦略がない」「CEOの72%が変革を実行するためのケイパビリティがない」といったことが課題になっていたという。
このことから「クライアントは勝てる戦略を作る能力、それを実行する能力を求めている。戦略を得意とするBooz & Coと実行が得意なわれわれが統合することで、戦略から実行までをつなぐサービスを提供する」(椎名氏)とした。
統合後のビジョンは「戦略から実行に関わる幅広いサービスメニューと優秀な人材を擁して、クライアント企業のグローバル規模でのケイパビリティ構築支援でコンサルティングファームとして、その存在感を際立たせていく」と説明した。

プライスウォーターハウスクーパース・ストラテジー 代表取締役 今井俊哉氏
プライスウォーターハウスクーパース・ストラテジー代表取締役の今井俊哉氏は、「PwCとStragy&の組み合わせは、日本企業に対するフルラインのプロフェッショナルサービスの提供が可能になる」と強調。日本企業の経営課題となっているグローバル化、M&Aと戦略的提携、事業モデルのモダナイゼーションという3つに対応していくとした。
具体的なケースとしては、グローバルなM&Aにおける、機会評価&ディール準備、デューデリジェンス(買収先評価)、合併前の統合計画、合併後の統合などといった各段階で両社が得意とする業務をそれぞれ担っていくという。たとえば、デューデリジェンスで「ターゲット企業は、自社の戦略の実現に必要なケイパビリティと資産を期待通りに有しているか」といった戦略面での課題にはStragy&が対応し、「ターゲット企業のリスクはどう評価されるか」といった税務や監査面での課題にはPwCが対応する。
「統合でこうした戦略、オペレーション、テクノロジ、M&A、会計監査、税務などの幅広いケイパビリティを駆使できるようになる。日本企業のグローバルビジネスの展開を支援する」(今井氏)

PwC Japan 日本代表 鈴木洋之氏
PwC Japan日本代表の鈴木洋之氏によると、PwCはグローバルで世界157カ国、18万4235人以上のスタッフを有し、売上高は321億ドルという、世界最大級のプロフェッショナルサービスネットワーク。グローバルの創業は1849年で、国内では1999年から営業を開始した。
業務ごとに別法人が行う体制で、国内では、税務は税理士法人プライスウォーターハウスクーパース、アドバイザリーはプライスウォーターハウスクーパース株式会社、監査とアシュアランスはあらた監査法人と京都監査法人がそれぞれ担当している。