モバイルファーストという不可逆

いまさら聞けない「ワークスタイル変革」の実態とモバイルエンタープライズ(前編)

千葉友範(デロイト トーマツ コンサルティング)

2014-04-23 07:30

 今回は、デロイトトーマツコンサルティングが実施したワークスタイル変革への意識調査のデータに基づき、ワークスタイルとモバイルエンタープライズについて考えたい。

 デロイトトーマツコンサルティングではこれまで、ワークスタイル変革に関する提案やプロジェクトを数多く実施してきた。中でも中核を担う「ヒューマンキャピタルユニット(HCユニット)」で、働き方に関する調査「ワークスタイルサーベイ」を担当した田中公康氏にワークスタイル変革の実態についてインタビューした。その上で、ワークスタイルとエンタープライズモバイルの今後について考察する。


ヒューマンキャピタルユニット マネジャー 田中公康氏

ワークスタイル変革は一過性のものか

 千葉:最近、“ワークスタイル変革”というキーワードが注目されていますが、テクノロジ系のコンサルタントとしては、バズワード(一過性のブーム)にも思えます。組織や人事系のコンサルタントととして、どのように分析されますか。

 田中:ワークスタイル変革という言葉自体は、クライアント各社の話からもワークスタイル変革が目指すもの、つまり目的が見えにくいことが多いと感じます。「生産性向上」「コスト削減」「イノベーションの誘発」「ダイバーシティ」など、目的は、各社各様です。

 千葉:「生産性の向上」「コスト削減」に代表されるキーワードのいくつかは、昔からあるビジネスプロセスリエンジニアリング(BPR)や活動基準原価管理(ABM)など、業務改善や業務改革と同じようにも思えるのですが、今回注目されている“ワークスタイル変革”も同様でしょうか。

 田中:一部は同じように見えるものもあるでしょう。しかし、本質的にはそれまでのものとは、まったく異質のものと考えた方がいいと思います。

 千葉:違いは何でしょうか。

 田中:現在でも、ワークスタイル変革として注目されているものにはこれまでと同様、業務効率やファシリティのコスト削減といった文脈のものが多いのは事実です。しかし最近は、優秀な人材の確保や積極的な人材維持施策(リテンション)戦略の一環として取組む企業が増えているのが実態です。

 世界的にみて、日本人の労働時間は最も長い方だと言えます。グローバル化を推進する企業の中には、たった1時間程度の電話会議をするためだけに、深夜まで残業を強いている企業も少なくありません。それでもまじめな日系企業は業務のIT化やアウトソーシングなどを進めて効率化を図ろうとしてきました。

 しかし、いまだに長時間労働国であることには変わりはありません。


世界と日本の労働時間の比較

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    生成 AI 「Gemini」活用メリット、職種別・役職別のプロンプトも一挙に紹介

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. ビジネスアプリケーション

    急速に進むIT運用におけるAI・生成AIの活用--実態調査から見るユーザー企業の課題と将来展望

  4. クラウドコンピューティング

    Snowflakeを例に徹底解説!迅速&柔軟な企業経営に欠かせない、データ統合基盤活用のポイント

  5. ビジネスアプリケーション

    AI活用の上手い下手がビジネスを左右する!データ&AIが生み出す新しい顧客体験へ

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]