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事業再生という仕事

事業再生の心構え--「良薬は口に苦し」 - (page 3)

浜村伸二(経営共創基盤)

2014-04-14 09:16

心構え3 神は細部に宿る


 イチロー選手が「結局は細かいことを積み重ねることでしか頂上にはいけない」と仰っていましたが、その事は事業再生にも当てはまります。実は、事業再生計画は、誰が描いても大抵似たような内容(人件費を効率化して、生産体制の集約化により製造コストを引き下げて……などなど)になります。

 ただ、一見この同じように見える事業再生計画ですが、成功するものもあれば、そうでないものも存在します。この勝敗の分かれ目は、われわれの経験ではどこまでで細部にこだっているか、現場を巻き込めるかであると考えます。

・ 高田経営企画部部長

 「計画では、人件費率は2%削減、5億円の効果を見込むはずだったのに全然達成できていない。特にわが社の店舗側の人件費の高止まりはひどい。店舗側の人員はアルバイトで担っているのに、全然変動費化できていないではないか。現場は数値を達成するつもりがあるのか」

・ 田村店舗責任者

 「高田部長、ご指摘の点は分かりますが、現場には現場の事情があります。例えばA店舗のアルバイトの鶴田さんは、ここで8時間働けることを前提に生活を考えています。B店舗の三沢さんも同様です。そんな方々に明日から4時間でいいと簡単に言えますか?店長も数値目標と一緒に働いている仲間との間に挟まれ悩んでいるんです。そんな頭ごなしに人件費下げろと言っても現場は動きませんよ」

・ 高田経営企画部部長

 「それはそうだが、ではどうすればいいんだ」

 こういった事は人件費に限らず、再生の局面で頻繁にぶち当たります。ただ、結局のところ、綺麗な正解はなく、関係者の心情、悩みを理解しながらも流されず、情理を尽くし何とか折り合いをつけるしかありません。その上で、いかに現場に細かく施策を落としていくかが重要です。

 以下は、われわれが手がけたコーヒーショップの立て直し事例ですが、弊社メンバーが実際に不採算店舗を中心に各店舗をまわり、毎日のシフト表を見ながら店長と膝詰めでシフトの見直し、人件費削減策を実行しました。それぞれの効果は一日一店舗、数万円ですが、それが年間且つ全店舗に広がれば数億円の効果に積みあがってきます。(参考資料3参照)

参考資料3
参考資料3

 結局のところ、事業再生への成功にウルトラCのような策は少なく、こういった当たり前のことを、地道に細かく積み上げていくしかないと考えます。

 今回は、事業再生計画の心構えを請謁ながらお話ししました。次回は別のテーマでお話しできればと思います。また、質問やこんなテーマでといったご要望があれば承ります。(編集部注:ご要望などありましたら、ZDNet JapanのFacebookページ、Twitterなどからご連絡ください)

画像
浜村 伸二
経営共創基盤 ディレクター
アクセンチュアにて製造業、流通業を中心に中期経営計画の策定、BPR/IT戦略の立案~実行サポートの案件を実施。その後、産業再生機構に移り、製造業を中心に事業再生計画の策定、ハンズオンでの経営支援を実施。経営共創基盤に参画後は、製造業から小売、ITベンダー、サービス業など、幅広い業種の事業再生計画(ADRなど)の策定及び債権者調整~実行支援、プリンシパル投資などの案件に従事している。

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