今週も、株は安く始まりそうだ(実際の4月14日午前の日経平均株価終値は15円安の1万3944円)。ただし、世界景気を見渡すと、悪材料より好材料が増えている。米国は大雪の影響がなくなり復調し、欧州も少しずつ回復している。新興国も一部に復調の兆しだ。一番大事な日本の景気については、4月1日以降、百貨店で予想以上に売り上げが落ちていることを除けば、総じて想定通り、または想定以下の落ち込みで済んでいる。楽天証券のチーフストラテジスト窪田真之氏の分析によると、増税の影響が薄れる7月以降には日本も景気復調が鮮明になるだろうとのことだ。
こういう状況下で、日本株への投資をどう考えたらいいか。
金融緩和の大盤振る舞いが終了する不安が株価調整の原因
世界景気の回復期待の高まりと逆行するように、世界的に株が下がったのはなぜか。最大の理由は、今までのような「超」金融緩和を続けられなくなる不安だ。米国の景気回復は、単純に好材料と言えなくなっている。将来、金融が引き締められる時期が早まる懸念が生じるからだ。米国の金融政策を決定する米連邦準備制度理事会(FRB)は、事実上の「世界の中央銀行」だ。米ドルは世界中で幅広く流通しているので、米国が金融を引き締めると、世界的に金融が引き締まってしまうからだ。
足元、米国および日本の株価が下がったのは、単純化して考えれば、以下の2つの金融政策が原因と言える。
金融市場を失望させた日米の金融政策
景気循環と株価循環:過去の経験則
景気と金利の変動によって引き起こされる株価循環には、過去の経験則では、4つの局面がある。
景気循環と株価循環の関係
今は金融相場から業績相場への転換期
金融相場から業績相場への転換点で、金利が上昇を始めるとともに、業績回復モメンタムが強くなっていけば、株価のスムーズな上昇が続く。しかし、金利が底打ちを始めても業績回復に不透明要因が残っていると、株は調整に入る。足元の日経平均急落は、投資家が今期(2015年3月期)の業績拡大に自信を持ち切れていない中で、世界的な金融の大盤振る舞いが終了すると見込まれることが原因といえる。
消費税引き上げ後の景気低下が一巡し、再び景気回復が鮮明になるまで、日本株は上値が重いままかもしれまない。今回の調整が完了し、業績相場へ転換するにはしばらく時間を要する。
<参考>ブラックマンデーの経験
金融相場から業績相場への転換点で、金融緩和終了や金利上昇が株式相場の急落を招くことは、過去にもあった。1987年10月のブラックマンデーだ。1987年の日本は、1985~86年の円高不況からの回復局面にあった。まだ景気回復力が弱く、景気回復の実感が持てない中で、1987年4月から世界的に金利が上昇を始めたことが不安視されていた。
10月にドイツが利上げを強行したことをきっかけに世界的に株が急落したのがブラックマンデーだ。1987年10~12月は金利が再び低下する中で日本株は調整が続いた。ただし、この調整は長くは続かなかった。1988年1月から日本の景気回復色が強まると、金利は上昇、日本株は1989年12月の史上最高値にむけて急騰を始めた。