アジア市場で生まれたローエンドの「Android」デバイスの多くは、オープンソースによる類のものだが、ブランド付きのオーソドックスなAndroidデバイスには、また別の課題がある。「Kindle Fire」や一部のLenovoのタブレットのようなデバイスは、Androidを搭載しているが、通常のAndroidアプリの上に、独自のアプリを載せている。例えば、Lenovoのタブレットの一部は、ユーザーにGmailではなく、独自のメールクライアントを使わせようとする。
「大ざっぱに言って、Androidデバイスのうち、Googleのデジタルプラットフォームと本当に深く結びついているものは、3分の1以下だと考えている」とGillett氏は言う。
フラグメンテーションの問題やこのような混乱は、販売の数字のみでは成功を計ることはできない十分な理由になるが、そのほかにも、消費者がどのようにデバイスを使っているかについても考慮すべきだ。
OSの使われ方とユーザーの熱心さ
上記のグラフは、すべてのプラットフォームを合算した世界のウェブトラフィックのうち、AndroidとiOSの占める比率を表したものだ。Androidの占める割合は増えているが、iOSと争える水準にまで増えたのは、2013年の終盤に過ぎない。一方Appleは、2012年と2013年に得たシェアは多くはないものの、常にAndroidを上回っている。
これらの数字は、Appleの顧客はAndroidの顧客よりも熱心にiOSを使用しており、モバイルの利用も多いことを意味している。Googleは現在Appleよりも多くのイノベーションに取り組んでおり、「Google Now」などのサービスで、よりシームレスな技術統合を進めているものの、これはまだ平均的なユーザーに強く訴えかけるものではない。実際には、Appleは信頼の厚いブランドを確立し、ステータスシンボルとなる製品を作り、製品の使いやすさに誇りを持っている。
ユーザーの熱心さを計るもう一つの指標に(信頼の指標でもあるかも知れない)、両社が情報を持っているクレジットカード情報の件数がある。Forrester Researchは米国で調査し、Amazonは9100万件のクレジットカード情報を持っていることを明らかにした。2位はAppleの4100万件であり、Googleは大差を付けられた3位の2200万件だ。つまり、AppleはGoogleと比べ、お金に関するデータを預けてもよいと信頼する顧客を2倍持っているわけだ。
結論として、Appleのデバイスはより多くの熱心なユーザーを抱えており、お金を使うユーザーもAppleのデバイスの方が多い。
「Appleの最大のチャンスは、オンラインサービスプラットフォームの機能と用途を大胆に拡大することだ」とGillett氏は言う。「一方、Googleのチャンスは、Googleと現在Androidを使用しているデバイスメーカーの間に、よりWin-Winの関係を作る方法を見つけ出すことにある」(Gillett氏)
Googleにはイノベーションと製品開発の面でより勢いがあり、Appleはより収益性の高いビジネスを築く点で勢いを維持している。AppleとGoogleのどちらが上回っているのであれ、この両社が、テクノロジ業界の次の10年を形作るプラットフォームとビジネスモデルを作ろうとしていることは間違いない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。