IDCによれば、現在の「データ中心型」のビジネス環境によって、最高情報責任者(CIO)が結果重視の戦略を通して目標を達成する機会が生まれている。
SASの支援で実施された同社の調査では、IT部門、事業部門、および分析担当の管理職、経営幹部を合わせた578人の回答者のうち、「分析から恩恵を受けている」とした割合が95%に達したが、「実際にその価値を数字にできる」と答えた割合は31%にとどまった。
IDCは、「ビッグデータと分析技術はビジネスを根本から変えているものの、多くの回答者がその価値を数値化し、あるいは別の方法で明確に評価できずにいる」としている。
IT部門と事業部門(LOB)との間の溝が埋まらず、IT部門が分析を実現するどころか妨げる存在として見なされる事例も判明している。そうした場合、LOBは「シャドーIT」も含む独自の解決策をとらざるをえないこともある。つまり、IT部門と連携するよりも分析を活用した方がROIを短期間で達成できる場合だ。
多くのLOBは、分析戦略を決定する上で、分析最高責任者と積極的に連携しているが、IT部門とのつながりや関与は、同部門が期待するほど多くはないこともわかった。LOBとITの協力から生まれる効果についても、LOB部門の方がIT部門よりも満足度が低いことも明らかになった。
「多くの企業では、個々の部門が別々にデータを収集し、見よう見まねの分析戦略をにつなぎ合わせているのが現状です」と、SASのグローバルマーケティングコンサルタント、Tony Hamilton氏は語る。「しかし、IT部門とビジネス部門が協力すれば、素晴らしい知見が得られます。こうした知見を、適材適所で活用すれば、新たなビジネスチャンスを作り出すこともできます」(Hamilton氏)
Hamilton氏によると、CIOは企業でビジネスと技術の両面をリードする絶好の機会を手にしており、データを収集・統合し、高い結果を維持できる人材を割り振ることで、企業全体の方向性を確立できる。
今回の調査では、組織の38%が、分析部門をIT部門外部に配置し、(この数値は5年前にはゼロに近かっただろう)、回答者の21%が所属する組織では、分析戦略のほとんどを分析部門が決定している。
「IT部門の技術が分析プロセスでどう役立つか」という点では、LOBとIT部門の見方に大きな開きがある。「IT部門が分析戦略の主に動かしているかどうか」については、IT部門とLOBからの回答者の間には14%もの差がある。
IT部門では、分析に関する協力の結果に対して、LOBより10%多い回答者が「満足している」と答えた。IT部門の回答者の場合LOBのほぼ2倍にあたる回答者が、「IT部門が分析プロジェクトへの投資を決定している」と考えていることも明らかになった。