政府の内閣官房 IT総合戦略室が、オープンデータを検索できるようにしたデータカタログサイトの試行版「Data.GO.JP」は公開を停止したままだが、現在、民間が立ち上あげたミラーサイトを紹介している。
紹介されているミラーサイトは、「DataGO.JP」「datagojp.ubin.jp」の2つ。いち早く立ち上がったミラーサイトDataGO.JPは研究者が本家サイト休止前に保存し、再公開されているメタデータを用いて立ち上げた暫定的なデータカタログサイト。
公開停止したウェブページを閲覧できる「Internet Archive」に保存されたデータカタログサイト試行版のデータや、利用規約などを参考に構築したという。
ミラーサイトとなるDataGO.JP
DataGO.JPは複数のオープンデータ推進団体からなる「Data for Japan」有志で運営されており、本家の完全なミラーではなく、データカタログ部分の内容のみをある程度再現したもの。一部不足分やデータ修正の必要があり、提供言語が日本語のみであるなどの(本家は英語でも提供)差異がある。
リンクト・オープン・データ・イニシアティブ理事の加藤文彦氏
サイト構築作業を担当したリンクト・オープン・データ・イニシアティブ理事の加藤文彦氏は、本家Data.GO.JPのデータカタログ部分にはCKANというオープンソース・ソフトウェアが使われており、ソフトにくわしい加藤氏へ複数の研究者からミラーサイト立ち上げに関する相談があったことを明かした。
加藤氏はアーカイブされたデータの形式上、1週間程度、1行ずつデータをインポートし、形式を直しながら処理するという作業をくり返したという。(二次利用可能なオープンライセンスの)データが手元にある以上、商用利用可能なカタログサイトを事前通達なしに止めてしまった政府を批判するよりも、データを使ってサイトを構築しようと考え、作業にあたったとした。
4月8日の山本一太大臣の記者会見では、正式版サイト構築や試行版サイト継続の調達について説明され、試行版サイト復旧は最短で5月、正式版は10月になる予定とした。
一般社団法人オープン・ナレッジ・ファウンデーション・ジャパンは「データを事業に使う企業などにとって、サービスやソフトウェアの開発が滞る可能性があり、継続的に提供されるオープンデータを活用したいと考えていたサービスは、今回の件で再考を迫られる」と指摘した。
特定非営利活動法人リンクト・オープン・データ・イニシアティブは、DATA.GO.JPの閉鎖に懸念を示しながらも、今回の対応はある種の緊急事態の予行演習として有意義であり、データが営利目的も含め、どのような目的でも利用可能な「クリエィティブコモンズライセンス」だったため、安心して複製、再公開できたとし、オープンライセンスの意義を示す事例だったとして結論づけている。
「DATA.GO.JP」新たにミラーサイトへのリンクなどが加わっている。