OpenStackやSDNは割高--シスコ、スイッチ「Nexus 9000」新モデル

齋藤公二 (インサイト)

2014-04-16 12:36

 シスコシステムズは4月15日、データセンター向けアーキテクチャと関連製品の記者説明会を開催。スイッチ「Cisco Nexus 9000」の新モデルと、フラッシュストレージの新製品「Cisco UCS Invicta」シリーズなどを発表した。

 Nexus 9000シリーズは、シスコが進めるデータセンターネットワーク管理のアーキテクチャ「Cisco ACI(Application Centric Infrastructure)」の主要な構成要素となる製品。ACIは「Cisco Application Policy Infrastructure Controller(APIC)」と呼ばれるポリシーコントローラを使って、物理と仮想のL2~L3ネットワーク上にあるさまざまなITリソースの管理を自動化、簡素化するもの。

Frank Palumbo氏
米Cisco Systems シニアバイスプレジデント グローバルデータセンター/バーチャライゼーションセールス Frank Palumbo氏
俵雄一氏
シスコシステムズ 執行役員 データセンター/バーチャライゼーション事業 俵雄一氏

 米Cisco Systemsのシニアバイスプレジデントグローバルデータセンター/バーチャライゼーションセールス、Frank Palumbo氏は「オーバーレイ型のSDN(Software-Defined Networking)のアプローチとは異なり、AIXやSPARCなどのさまざまなプラットフォームを物理環境も含めて管理できることが大きな特徴。ネットワーク仮想化製品のためのライセンスが不要になることからTCO(総所有コスト)削減にも効果がある」とACIのメリットを説明。同社の社内インフラに適用した調査では、運用管理コスト(opex)が35%減、TCOが75%減になったという。

 シスコシステムズ 執行役員 データセンター/バーチャライゼーション事業の俵雄一氏によると、ACIは6月に提供する予定であり現在、先行企業によるベータテストが展開されている段階だ。国内ではシミュレータを使ってテストしている企業が5社、実機ベータが3社ある。ユーザーとしては、サイバーエージェントがACIへの移行を踏まえ、Nexus 9000を採用したという。

 サイバーエージェントはもともと自作のクラウド環境コントローラを使ってデータセンターを管理していたが、環境の拡張とともにTCOが増大していた。そこで、IaaS環境構築管理ソフトウェア「OpenStack」やSDNを検討、評価したが、コスト高になることがわかり、ACIを使ったポリシーベースでの運用を採用することにしたという。

 「ポイントは、自作クラウドコントローラとAPICをAPIで連携できること。データセンター全体でポリシーをベースとした柔軟なプロビジョニングなどを行うことで、工数とコストの削減を目指している」(俵氏)

 Nexus 9000シリーズの新モデルは、7RUで4スロットモデルの「Nexus 9504」と、20RUで16スロットモデルの「Nexus 9516」。Nexus 9504は3月に提供済みで(グローバル価格:1万2500ドル)、Nexus 9516は6月に提供予定(価格は未定)となっている。

 4月上旬に米で開催されたイベント「Interop」で発表した、APICの“サウスバウンドAPI”をオープンソースにした「OpFlex」の取り組みについても説明があった。サウスバウンドAPIは、SDNの中核と言えるプロトコル「OpenFlow」のように、管理ソフトウェアからネットワーク機器を操作する。OpenStackなどから外部のSDN対応機器に依頼するのが“ノースバウンドAPI”になる。

 OpFlexには、avi Network、Canonical、Citrix、embrane、F5、Microsoft、Red Hatの8社が参加し、オープンなプロトコルとして開発を進めるという。「仮想と物理のスイッチ、L4~L7で使用可能なプロトコルをサポートする予定で、あらゆるサードパーティが参加可能だ」(Palumbo氏)

 x86サーバ「Cisco Unified Computing System(UCS)」は、2009年4月の展開から5周年となり、顧客は3万社、チャネルパートナーは3850社に拡大し、データセンター関連の年間売上高20億ドルに大きく貢献したという。

 「x86ブレードの世界市場シェアは2位で成長率は前年比39%増。前年から売り上げを伸ばした唯一のサーバベンダーとなった。x86サーバがコモディティ化する中でわれわれはネットワークの付加価値で成果を出した。ネットワークの抽象化レイヤがあるため、ベアメタル(物理)サーバのワークロードを仮想化環境であるかのように物理仮想間で移動できる。ブレード、ラック、ネットワーク機器をシングルコンソールで管理できることも特徴だ」(Palumbo氏)

 日本国内でも、UCS販売3年間の年平均成長率(CAGR)は40%となり、パートナーも4社から23社に拡大した。発表している事例は23社で、NECネッツエスアイ、ソネット、長野中央病院などがある。

 新製品のUCS Invictaは、2013年に買収したWHIPTAILの製品で、新たにUCSのラインアップに加えたもの。フラッシュストレージを採用することで、データ処理とスケーラビリティへの対応、アプリケーションの高速化をはかっている。

 米国ではアプライアンスモデルを2月24日から提供開始しており、スケーリングシステムは4月末から提供予定。国内では、販売パートナー9社から4月末から提供される予定となっている。

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