空間データが変える未来

高まるニーズ--地理空間データを可視化した地図の有用性 - (page 3)

高橋睦(野村総合研究所) 2014年04月21日 07時30分

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自らマップデータを作る--UAVや小型衛星の可能性

 さらに今後は、自治体や専門業者、個人が本当に必要なエリアの必要なデータについてのみ、自ら低コストでマップデータを作る、購入するというサービスが普及する可能性がある。

 以前紹介した無人航空機(Unmanned Aerial Vehicle:UAV)は、航空法の制限範囲内であれば、誰でも操縦することができる。もちろん、自治体や企業の職員が撮影することも可能だ。

 岡山県のある自治体では、自治体職員や森林組合の職員が、自らUAVを操縦して森林を空中から写真撮影し、森林の施業管理のためのデータ収集に活用する取り組みを始めた。UAVであれば初期投資のみで、必要な頻度で必要な範囲の空中写真が撮影できる。さらに、撮影した画像は専用ソフトを用いて3Dモデル化することができる。

 UAVは、その手軽さと小回りの良さから、空中写真撮影や火事や津波、洪水などの災害監視に有効である。災害発生後にすぐに飛ばして被災地域の状況を撮影すれば、被災状況確認ツールとして、またその後の対策検討のための分析用データとして極めて有用なものとなるだろう。最近は、道路や橋梁、メガソーラーのパネルなど、目視確認が困難な施設の点検作業での活用や、ドラマや映画などの撮影での活用が広がっており、利活用分野は増えていくだろうと思われる。

 また、小型衛星もマップデータ作製において有望なツールである。小型衛星は、大型の人工衛星に比べてサイズが小さい分、打ち上げコストも割安だ。単体では足りなくても、複数の衛星群での相互補完連携である“コンステレーション”により、衛星画像を高頻度に取得することが可能になる。

 米国ではすでにSkybox Imagingが、高い技術力を武器に、人工衛星で撮影した分解能1メートルという高精度の動画や静止画を提供すると発表している。2013年12月に「SkySat-1」が打ち上げられており、今後、計24機の衛星を打ち上げてコンステレーション体制を構築するという。

 日本でも、大企業からベンチャーまで、さまざまな機関が小型衛星の打ち上げを計画している。いまはビジネスモデルが模索されている段階であるが、技術が成熟し、安定的なデータ供給体制が構築されれば、現在よりも割安かつ鮮度の高い航空写真を手に入れられるようになるだろう。

 さらに屋内については、Googleが発表した「Project Tango」に期待がかかる。これは、4メガピクセルのカメラと動体追跡カメラ、統合センサを搭載したスマートフォンによるもので、センサの毎秒25万回の計測によりリアルタイムにフル3Dの認識でき、歩きながら周囲の3次元モデルデータが取得できるというもの。

 もしこれが市販のスマートフォンに搭載されることになれば、個人があらゆる空間の3Dマップを作製することが可能となる。先に述べたオープン化の作る自由、流通の自由、時間の自由がすべてクリアされた状況が実現する。このように、高頻度でのデータの生成技術が向上すれば、マップデータは3Dに加えて時間データも加わった4次元データ化も可能になる。すると、空間モデルデータがビッグデータ化し、経年比較やシミュレーション、将来予測などの技術開発が進むと考えられる。

 ただし、データの高精度化、更新の高頻度化、オープン化が進めば、プライバシーや精度や品質の担保、事故などが起こった際の免責などの問題が、より大きな社会課題となる。例えばUAVは、事故リスクやプライバシー侵害の懸念があるため、民家や人の往来があるところでは飛ばさないというのが、暗黙のルールとなっている。先に述べた森林の事例でも撮影エリアを市有林などに限定して運用しており、より明確な撮影ルールの設定と浸透が必要だろう。新たな技術開発やサービス開発は、特に米国から猛スピードで進んでおり、より迅速な対応が求められる。

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高橋 睦(たかはし ちか)
 野村総合研究所にて都市政策、地域情報化、都市の海外展開等に係る調査・コンサルティング業務を担当後、官民人事交流制度により国土交通省にて地理空間情報活用推進に係る業務に従事。 現在は野村総合研究所に復帰し、さまざまな社会課題におけるG空間やICT活用に関する調査、コンサルティングを主に活動している。
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