千葉:青写真と将来像……将来を見据えるというのは、中長期計画などのことですか。
田中:中長期計画も重要です。しかし、私が意図しているのは、マクロ環境です。経済や政治、社会情勢、技術テクノロジなどの環境がどう変わるのかということです。

田中公康氏
千葉:いわゆるPRISM*ですね。
- *『Politics(政治)、Religion(宗教)、Innovation(技術革新)、Social Movement(社会動向)の頭文字をとった、主に定性的な情報で将来環境を整理するためのフレームワーク)』
田中:はい。多くの企業は中長期計画でどのような戦略を採り得るのか、そのオプション、製品やサービスのポートフォリオなどを検討されていると思いますが、それを実現する際の外部環境まできちんと整理できているかがポイントです。
千葉:2060年まで予測している例もありますが、一般でもここまで予測しければならないでしょうか。
田中:ワークスタイル変革のプロジェクトの際は、中長期計画2つ分くらい先の未来を予測することを提案しています。そうでないと「取り組みが終わるころにはすでに過去のものになる」と可能性を指摘しています。
今から中期経営企画書が計2つ分の将来、つまり、6年後は2020年ですね。ちょうど東京五輪の年ですが、その頃はどんな世の中になっているかを考えることがとても重要です。
千葉:2020年、テクノロジの世界は、今の仕事の半分程度は機械が担っているでしょうね。ロボット化やSiriのようなバーチャルアシスタント機能や拡張現実(AR)が当たり前な世界になっていると思います。
田中:問題はそうした機械が本当に必要になっているのかという「必然性」です。例えば、最近注目されているスマートグラスですが、ウェアラブル端末が必要になる世界観はどんな時代でしょうか。2020年を考えると、例えば、東京五輪や東北復興のために、建設需要がピークを迎えますよね。