ITの新たなデマンドの創造を目指す--セールスフォース新CEOの小出氏 - (page 2)

大河原克行

2014-04-17 07:30

 「私は、日本で意思を決定するジャパンマネジメントコミッティのチェアマンを担当する。すでに1月からスタートしているもので、2週間に1度の割合で開催。10件以上の戦略案件を決定している。モバイルコンピューティングのソフト会社に投資支援を行ったり、日本の社会形態にあった新たなパートナーモデルを創出したりといったことを決定し、米国本社の支援を得て展開している。これらの取り組みは非常にエキサイティングである。日本の社会の要求に対して積極的に投資していきたい」

 こうした意気込みを語る川原氏は「日本の意見をグローバルの経営の中に反映していくことも大切だ。プライシングを決定するための役割を持つプライサーを日本の中に置くことになった。柔軟性を持った経営が可能になる。われわれのビジネスは、これまでビジネスゾーンとしていないところに広がっている。こうした動きに俊敏に対応することが必要である。それが、売上高1000億円に向けた最短のアクションになる」と目標に対する今後の指針を見せた。

 今後の具体策としては「アライアンス制度の見直しとISV(独立系ソフトウェアベンダー)との協業を加速していく。クウラドビジネスでのライセンスの形態はまだ模索段階にある。これを作り上げたい。ISVとの協業では、業界特化型のソフトウェアにおける連携、モバイルプラットフォーム上でビジネスを展開しているISVとの連携を加速させたい」と語った。

Keith Block氏
Salesforce.com 取締役社長兼副会長 Keith Block氏

米国以外で初めてCEOを設定

 Block氏は「Salesforceはこれまで14年間に渡り、日本の市場でCRM(顧客情報管理システム)のリーダーと位置付けられていた。会社の規模や業種に限らず、多くのユーザーにSalesforceを利用してもらっている。ソーシャルやモバイルでの活用、官公庁での利用率も上昇している」という現状を語った。

 「日本のスタートアップ企業14社にも投資している。450のNPO(非営利法人)を支援する体制を取っている。これらの成長は、10年間に渡る宇陀さんのリーダーシップと強いコミットメントによるものである。宇陀さんには、これからも引き続き、取締役相談役として戦略的アライアンス、グローバル企業へのサポートをしてもらう。宇陀さんが構築した土台のもと、これからの10年間をさらに成長させたいと考えている」と宇陀氏のこれまでをねぎらった。

 続けてBlock氏は「日本はわれわれの成長の中心にある。そこに新たに小出さんにCEOとして参加してもらうことになった。米国以外でCEOというポジションを設定するのは初めてのこと。ここからも日本の市場を重要視していることがわかるだろう」と日本法人での新体制の意義を解説した。

 今回の人事についてBlock氏は以下のように明らかにした。

 「これから10年は、何をすべきかという観点から戦略を見直し、それを実行する人材は誰がいいのかということを考え、日本の経営陣に小出さんに加わってもらった。今までの実績を次のレベルに成長させるには小出さんが適任であると考えた。川原さんには、これまでエンタープライズセールスを担当してもらったが、今回は取締役社長兼COOに就任し、エンタープライズビジネスとソリューションビジネスを担当してもらう。業界別ソリューションをパートナーとともに強化する役割も担う。金融保険、医療製薬、自動車、小売り、通信、公共機関向けに新たなソリューションを提供し、顧客の成功を支援する」

 Block氏はSalesforce全体について「われわれは心も身体もクラウドでできている。クラウド業界を作ったのはMarc Benioffである。さまざまな企業が追随してきたが、クラウド市場におけるリーダーのポジションは変わらない。迅速に意思決定をする風土もある。そうした中で日本の位置付けをもっと高めたい。長期的な成長を見込んでいる。日本法人を10億ドルの企業にし、従業員数を2000人に増やしたい。小出さんにその役割を果たしてもらうことになる」と語った。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]