いい時にマネジメントを変える
取締役相談役の宇陀氏は「今回の人事は私が自らドライブしたもの」と語り、「社長に就任した2004年3月には従業員が30人。それが今は600人にまで拡大している。売上高も引き続き成長を遂げている。経営トップの交代は業績悪化など経営者として“落ち目”になって変わるということもあるが(笑)、そういう状況ではない。いい時にマネジメントを変えることこそが重要である。その考え方に対してMarc Benioff、Keith Blockが支援し、今回の人事となった」と新体制の背景を語った。
セールスフォース・ドットコム 取締役相談役 宇陀栄次氏
今回のトップ人事に込めた思いを宇陀氏は「1000億円の企業、2000人の従業員という目標は私が描いたものであるが、自分よりも優秀な人を採用して、その体制で実現してもらうのがいいと考えた。自分よりもスキルが低い人材を入れて残ろうということは考えていない」と表現した。
「小出さんは、日本ヒューレット・パッカードで4500人の従業員を率いて事業を行ってきた。川原さんは、日本IBMで専務取締役として数千億円のビジネスをやってきた。こうした体制によって、われわれのビジネスがもっと加速する。私も相談役として、特別プロジェクトを率い、特定の顧客を担当していきたい。グローバルの企業における日本法人の役割はどうなるかといったことも追求していきたい」(宇陀氏)
懇親会では、キヤノンマーケティングジャパン代表取締役会長の村瀬治男氏が乾杯の音頭を取った
宇陀氏は日本法人の今後について、こう意気込みを見せた
「業績を伸ばすことだけがゴールではなく、社会に貢献することが大切である。これまでにも、トヨタとの提携や郵政民営化を支援するといった経緯もあるが、セールスフォース自らがイノベーティブなカンパニーとして取り組んできた。これからもそう言われ続けなくてはならない。Fortune 500のうち約70社が日本。そのうち80%が当社の顧客。日本の企業がグローバルに展開するときに本当に支援できる会社はあるのか。そうした点からも、今までないことをやっていきたい。そこにわれわれの価値がある」