また「船頭多くして船山に上る」ということわざもあります。大規模な攻撃や、多くの顧客情報、知財情報などを所持する企業などを対象とした過去事例など、自組織とはまったく異なる性質の組織にのみ用いられる攻撃は自社と関係あるでしょうか。
中小企業にとってあまりに可能性の低い攻撃に対してまで、分析や事前の対応プランニングを実施してしまうと、さほど冗長ではない意思決定の場に無用な混乱を招き、可能性が高いインシデントリスクに対する人的、金銭的、時間的投資が疎かになってしまう可能性があります。
攻撃の最新トレンドについてもそうですが、外部からの情報に流されず「自組織にとってどうなのか」という視点で、関連性や必要性を吟味し、取捨選択する必要があります。
そして、どんなに素晴らしいツールを手にしたとしても、使うのは組織自身であり、適切なタイミングにて迅速な意思決定がなされなければ、結局は宝の持ち腐れとなりかねないのです。
今後の皆さんのインシデント対応について、少しでも参考になれば嬉しく思います。
- 中山貴禎
- トヨタや大手広告代理店など、さまざまな業界を渡り歩き、2010年1月よりネットエージェント取締役。機密情報外部流出対策製品のPM兼務。クラウド関連特許取得、米SANSにてトレーニング受講等、実務においても精力的に活動。