三国大洋のスクラップブック

秘密の研究所Google X--「途方もない構想」がなぜ生まれるのか - (page 2)

三国大洋

2014-04-18 07:30

 Sebastian Thrun(2006年のDARPA Grand Challengeで優勝した自動運転車「Stanley」開発チームのリーダー、AI研究者。現在はUdacityの最高経営責任者)を初代責任者として2009年にスタートしたGoogle Labで、現在日々の業務を取りしきるのがAstro Teller(本名はEric Teller)というAI分野の科学者――Astroの父方の祖父は「水爆の産みの親」とされるEdward Teller、母方の祖父はノーベル経済学賞を受賞したGerard Debreuという人物だそうだ。

 そのTellerの下で、現在約250人ほどのメンバーが、よく「Moonshots」と称されるような奇想天外な研究開発に取り組んでいる。Moonshotsは、「月を打ち落とす」のと同じくらい難しいこと、無謀なことといった意味だろう。

 記事の中には「10年後くらいに実現するかもしれない」「(実現できれば)桁違いのインパクトをもたらす可能性がある」取り組みなどいう説明もある。またこのメンバーの経歴が多種多様で、例えば公園監視員(“park rangers”)、彫刻家、哲学者、機械工、映画の特殊効果の専門家(アカデミー賞受賞経験あり)、アマチュアのヘリコプター開発マニア、などといったものが並んでいたりもする。

 Fast Companyの記事には、Google Xで「Captain of Moonshots」を務めるTellerとほかに3人の幹部がもっぱら登場しているが、その中の1人であるRich DeVaulも一言で説明するのが実に難しいタイプ。記事の筆者は「デザイン、物理学、人類学、機械学習のマッシュアップ」(“some mashup of design, physics, anthropology, and -machine learning”)みたいな人物と評している。

 そんなDeVaulの属する「Rapid Evaluation Team」は、メンバーが毎週集まって、冒頭に記した規準などを使いながら、たくさんのアイデアをふるいにかけているという。つまり、これまでに正式なプロジェクトとして認められた4つの取り組み以外に、日の目を見なかったもの、時機が到来するのを待っているものが膨大にある、ということかもしれない。

 このDeVaul、実は「Project Loon」のアイデアを思いついた張本人ということだが、その発想の方法がかなり面白い。いわく「何かのプロセスを最適化して5%あるいは2%効率を上げようとすることに比べると、(Moonshotsとされるような)大きな課題の解決に向けて足がかりを得るほうが簡単(そういうことが往々にしてある)」。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]