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「頭おかしいぞ!」はイノベーションの瞬間(かも)

飯田哲夫 (電通国際情報サービス)

2014-04-22 08:00

 「イノベーション」とは、多くの企業が掲げ、大多数の経営者が口にする言葉である。そして、多くの場合、それは掛け声のみであって、実態が伴うことはない。なぜならば、イノベーションという概念には誰もが賛成するが、“イノベーションを実行に移すこと”には多くの人が反対するからだ。

 4月9~10日に開催された新経済サミット2014において、Oracleの最高経営責任者(CEO)Larry Ellison氏は、他の人が誰もやっていないこと、つまりはイノベーションを実行に移そうとすれば、頭がおかしいんじゃないかと言われるが、それは本当にすごいことを見出したのか、あるいは頭がおかしいかのどちらかであるという趣旨の発言をした。つまり、イノベーションを起こそうとすれば、頭がおかしいと言われることを覚悟しなくてはならない。

 『イノベーション戦略の論理』で原田勉氏は、ヤマト運輸の例を引き、「社会的に大きな影響を及ぼしたイノベーションに共通しているのは、『社長以外全員反対』だったという事実である」(P51)と言う。また「1990年代までのソニーでは、役員の半数程度が反対すれば新製品の発売はゴーサインが出されていた」(P53)そうだ。つまり、多くの反対者がいることがイノベーションの条件であるということだ。

 Ellison氏や原田氏の議論から言えるのは、イノベーションとは決して合理的に判断できるものではなく、民主的な議論では実行に移すのが難しいということだ。原田氏は、イノベーションの成功確率とは主観的なものであり、客観的に推し量ることは難しいとする。

 それ故に、最終的な判断の拠り所は、社長個人であれば、信念であり哲学となり、企業であればその理念であるとする。つまり、財務的尺度を越えた企業の存在意義にまで遡る必要がある。そして、その上でイノベーションの成功確率を高めるマネジメントを実行せよというのが原田氏の主張である。

 しかし、Ellison氏が言うように、これぞイノベーションだと喧伝する人物は、単に頭がおかしいだけかもしれない。原田氏も「『社長以外全員反対』はイノベーションのための必要条件であって十分条件では決してない」、むしろ『「殿ご乱心」という結末になることの方が多い』としている(前掲書P51)。

 いや~、イノベーションの判断とはやっぱり難しい。先日、電通国際情報サービスが主催した「金融イノベーションビジネスカンファレンス 2014」で、起業家である齋藤ウィリアム浩幸氏は「『成功』の反対語は『失敗』ではない、それは『何もしないこと』である」と明言した。あとは信念あるのみである。

飯田哲夫(Tetsuo Iida)

電通国際情報サービスにてビジネス企画を担当。1992年、東京大学文学部仏文科卒業後、不確かな世界を求めてIT業界へ。金融機関向けのITソリューションの開発・企画を担当。その後ロンドン勤務を経て、マンチェスター・ビジネス・スクールにて経営学修士(MBA)を取得。知る人ぞ知る現代美術の老舗、美学校にも在籍していた。報われることのない釣り師。

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