娘への手紙--インターネット世代のプライバシー - (page 2)

Scott Robinson (Special to TechRepublic) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2014-04-23 07:30

 これは、今は大したことだとは思わないかもしれないが、いつでも念頭に置いておくべきだ。インターネットで発言をするときには、誰かの家のリビングで、周りにたくさんの人がいるときのように発言するべきだ。ある程度の丁寧さと分別が必要なんだ。これまでに、インターネットに深く考えずに書き込みをしたせいで、何十万という人間関係やいくつもの政治家人生が終わり、数え切れないほどの有名人が恥をかいたり、屈辱を味わったりしている。

 これは社会での振る舞いの問題だけど、一種のコンピュータセキュリティでもあるんだよ。

レンタルか、所有か

 インターネットを作って、そこに住み始めたのはお父さんの世代だけど、それを受け継ぐのは君の世代だ。だから、君にセキュリティのことを教え、君が当たり前だと思っている奇跡について理解させることは、われわれの責任なんだ。たとえば、「フィッシング」について聞いたことがあるだろう。本物の振りをした電子メールやウェブページでユーザーをだまして、個人情報を送らせたり、パスワードを入手したりするものだ。インターネットを使った新しい悪徳商法や詐欺が出てきたら、それを理解しておかなくてはいけない。新しい手口が次々に出てくるから。

 だけど、一部の危険は、インターネットそのものに組み込まれているんだ。例えば、「クラウド」について聞いたことがあるね。クラウドを使えば、自分の音楽ファイルを置いておいて、iPhoneでもiPadでも、どんなデバイスからでも自分の音楽にアクセスできる。

 クラウドは単純なものだ。物理的に言えば、家にあるものと同じで、データを格納しておくサーバ群だ。「クラウド」サーバと従来のサーバの違いは、「クラウド」はレンタルで、従来のサーバは所有するものだということだ。家にある本棚を考えてみよう。その本は自分の家の中にあるから、お父さんはそれらの本を自由にできる。従来のサーバはこれと同じだね。だけど、本をレンタル倉庫に置いたら、誰か他の人のコントロール下に置かれることになるんだ。自分の本にたどり着くには、誰か他の人のセキュリティコントロールを受けるしかなくなる。クラウドにデータを置くのは、そういうことだ。常に誰かのコントロールを受けることになる。これも、いつも考えておくべきことの1つだね。

ビッグブラザーが見ている

 この手紙の最後を、少し被害妄想的な話で締めくくろう。米国で最近起こった出来事は、よく注意をしなければ、自分の個人的なプライバシーは奪われてしまうということを示している。心配しなくてはならないのは、クレジットカードの番号を盗もうとするハッカーだけではなく、デジタルな君を捕らえることができる力と技術的能力を持つ、政府そのものだ。

 お父さんが君の年の頃に、政府が国民を常に監視していると何が起こるかということを書いた、重要な本を読んだことがある。今では、政府は実際に国民を監視する必要はない。われわれのデジタルドッペルゲンガーを監視していればそれで済む。

 コンピュータセキュリティに関する知識の中でも、これは君が(そしてそのほかの誰もが)念頭に置いておくべき一番大事な知識だ。この国に住むものには、自分で責任を取り、自分で決めることが求められている。最終的には、自分たちがルールを作るんだ。より楽しく便利な、素晴らしいデジタル世界のある未来を作るためには、注意深くインターネットのプライバシーと自由を守る法律を作る必要があるし、その自由に反対する政治家や政府組織には、反対しなくてはいけない。このことをいつも忘れないで欲しい。

 ここで書いたことについて考えてみてくれないか。そして、また話をしよう。

 愛を込めて

 父より

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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