接続性
筆者から見たウェアラブル製品の最も大きな懸念の1つに、ほとんどの製品がパーソナルエリアネットワーク(PAN)での使用を前提にしているという点が挙げられる。言い換えれば、ウェアラブル製品はBluetooth接続されたスマートフォンがなければほとんど使い物にならないということだ。企業分野では、接続性に関するこういった懸念はそれほど問題にならない。Ballard氏は「社内における利用では、ウェアラブル製品は企業のWi-Fiネットワークに接続される」と述べたうえで、「倉庫やスタジアムの中であれば、接続性は懸念とはならない」と語っている。
その一方で、コンシューマーによる利用という観点から見た場合、携帯ネットワークに直接接続するウェアラブル製品によって業界に恩恵がもたらされるという点にはBallard氏も同意している。また同氏は、「今後、さまざまなモデルが登場するという点を考えると、コンシューマーにとって、ウェアラブル製品向けの携帯ネットワークの重要性が高まるはずだ。そして、企業はその利用形態を決定できる」と語っている。
スタジアムにおける経済モデル
Ballard氏によると、Washington CapitalsによるGoogle Glassを用いた実験の目的は、ファンに素晴らしいエクスペリエンスをもたらし、試合を観戦しに来てもらえるようにすることだという。ただ、このモデルは一筋縄ではいかない面を抱えている。Google Glassは規約上、まだ商業利用が許されていないため、APX LabsとWashington Capitalsは今のところ無償でデモンストレーションを実施している段階だ。最終的には、プロチームがスポンサーを募るというモデルで、Google Glassやその他のウェアラブル製品が使用されるようになるはずだ。
重要となる垂直展開
APX Labsはウェアラブル製品の軍事応用に特化した企業として出発したが、後にその業務を政府向けとプロスポーツ向けに分割し、中核の顧客である工業分野や物流分野、ヘルスケア分野、製造分野、フィールドサービス分野に対しては外部企業として協力していくかたちをとるようになった。Ballard氏は、教育分野とともに、警察や緊急対応といった分野が興味深いものになるだろうと付け加えている。ただ、教育分野では予算にまつわる懸念があり、警察や緊急対応で用いられるウェアラブル製品については、プライバシーにまつわるさまざまな懸念が持ち上がってくる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。