三国大洋のスクラップブック

アップルの次の“ブロックバスター”製品--そのビジネスモデルを考える - (page 3)

三国大洋

2014-04-25 08:00

 この取り組みでは、Cignaの従業員数千人にアームバンドを配布、同時に身体をもっと動かすよう奨励する「遠隔コーチング」なども仕組みも採り入れた結果、従業員の糖尿病発症のリスクを大幅に引き下げられたという(ただし具体的な数字は出ておらず、糖尿病のリスクプロファイルが「慢性」あるいは「発症のリスクあり」に分類された従業員の間で2桁の改善がみられた、という書かれ方がしてある)。

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 いずれにしても、Appleが仮にスマートウォッチあるいはフィットネストラッカーを投入したとして、iPhoneなどに比べて単価の安い製品(概して粗利率も低くなりがち)をそのまま売っただけでは大した額にはならない(たとえば1台150ドルとして、3カ月に100万台売れたとしても1億5000万ドル)。それだと儲けを出すのも難しいかもしれない(99ドルのApple TVの例が思い出される)。

 それに対して、医療保険会社などからの収入も見込めるとなれば、十分な粗利率を確保できる可能性も高まりそうだし、より広い層の消費者に製品の購入、着用を促すインセンティブとなるかもしれない。「自腹を切る保険料金額を押さえられる/下げられる」と知っていれば、「買ってしばらく経つと放置してしまう」といったユーザーの割合もかなり少なくなるのではないか。

 できればApple(や競合他社)の懐に入りそうな金額を皮算用してみたいところだが、生憎と(米国の)保険業界や保険料が決まる仕組みなどが現状ではまったくわかっていない。

 ただ、携帯通信会社にとってiPhoneが欠かせぬツール(新規顧客加入者やスマートフォン=データプラン売り込みのための道具)となったように、保険会社にとって(Apple製品に限らず)フィットネストラッカーが商品販売上で必須アイテムになる、というシナリオはちょっと面白い。

 少なくとも保険会社――医療機関に治療費を支払わなくてはならない――にとっては多少の“持ち出し”が生じたとしても、全体としてみると決して悪い話ではないかもしれない。(敬称略)

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