3Dプリンティング革命が「工場」から「家庭」に広がらない理由 - (page 2)

Charlie Osborne (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2014-05-01 07:30

 消費者市場では、Shapewaysのような企業が、ユーザーが自分で製品をプリントすることを可能にしている(ただしコストはかなり高い)が、これはニッチな市場であり、熱心なユーザーや現在の目新しさに惹かれている人以外に拡大していく可能性は低い。

 また、3Dプリンティングは多くの場合、莫大な電力を消費するため、小規模な企業やプロジェクトにとっては、プロトタイピングや小規模生産以外には利用しにくいということも念頭に置いておく必要がある。

 一般に、競争やイノベーションを促進する市場の動きは、どんなものも有益なものだが、3Dプリンティングは当面、消費者市場では限られた用途しかないだろう。このテクノロジは医療、建設、製造の分野では利用の途があるが、家庭用製品としては適さず、贈り物やデザイングッズをプリントするのは楽しいが、それ以上の用途はない、小さくて目新しいプリンタという位置づけにとどまると思われる。

 技術のトレンドは流行り廃りが激しく、足跡をとどめるものもあるが、そうでないものもある。モバイルの流行はPCの販売を減少させ、世界中に広がったが、ウェアラブル技術が同じように消費者の心をつかめるかどうかはまだ分からない。

 「次の目玉」と呼ぶべきテクノロジは、消費者の日常に入り込んでいく必要がある。そして、その名にふさわしいものになるためには、大部分の家庭や企業にも入り込んでいかなくてはならない。3Dプリンティングは刺激的で興味深い技術だが、家庭では必要不可欠なものではなく、目新しいものに止まり、次の目玉と呼べる域に達する可能性は低い。

 技術の価値は高いものの、3Dプリンティングはモバイルデバイスとは異なり、当面の間は製造業の分野で利用されるに過ぎず、「革命的」と呼べるものではない(モバイルが「革命的」なのは、市場の広がりとコストの低さだ)。3Dプリンタは機材にも、材料にも、メンテナンスにも大きな投資が必要で、一般的な家庭には適さない。このテクノロジは「誇大広告」されている段階にあるが、製造業やサプライチェーン、目新しい商品、医療分野における人工器官の作成の分野でニッチな市場を手に入れるだろう。価値があるかと問われれば、もちろんある。しかし革命的かと言われれば、残念ながら違うだろう。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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