BlueMixを拡充、IBM版アプリストア開設--Impact 2014 - (page 2)

田中好伸 (編集部)

2014-04-30 08:00

 UXを向上させるにはシステムが「エンドトゥエンドで統合しないといけない」(LeBlanc氏)。そのためには、BlueMixが提供するComposable Businessが有効性を発揮すると語った。

ユーザー部門向けに100以上のSaaS

 顧客との接点でモバイルが大きな位置を占めるようになった現在、SoEとSoR、それらが連携するSoIがビジネスを大きく成長させられるというのがIBMの戦略だ。そうした考えから、LeBlanc氏は「(企業内で稼働する)ほとんどのアプリケーションはハイブリッドクラウドになる」との見方を示した。プライベートクラウドやオンプレミスで稼働するアプリケーションはファイアウォールの外側にあるシステムやデータを活用した方がより有効であり、顧客が求めるスピードに対応できるからだ。「APIを活用することでモバイルアプリ上で統合できる」(LeBlanc氏)

 こうした流れでLeBlanc氏から明らかにされたのが、“IBM版App Store”とも言えるCloud Marketplaceだ。Cloud Marketplaceを実演する中でLeBlanc氏は、モバイルアプリへのデータ配信やメッセージングなどのサービスがトライアルで使った後でシステムに組み込めるといった可能であることを解説した。

 Cloud Marketplaceでは、ユーザー部門向けに100以上のSaaSが用意されている。提供されるSaaSはマーケティングや販売、サプライチェーン、顧客向けサービスなどが用意されている。

 ユーザー部門以外にもCloud Marketplaceでは、開発者やIT部門向けにも提供される。開発者向けには、オンプレミスとオフプレミスのハイブリッドクラウド環境で使えるツールや統合されたアプリケーションなどを使うことができる。IT部門向けでは、IaaSのSoftLayerの上で構築できるサービスを簡単に活用できるという。データのセキュリティなどを担保したシステムを活用できるとしている。災害復旧(DR)関連やマネージドセキュリティサービスなども提供されるという。

 「Cloud Marketplaceはニーズにあったものを提供していきたい。パートナー企業にはCloud Marketplaceでのビジネスパートナーになってもらいたい」(LeBlanc氏)

IoT関連サービスも提供

 基調講演の中でLeBlanc氏は、BlueMixのサービス拡充にも触れた。BlueMixはSoftLayerの上で稼働し、オープンソースソフトウェア(OSS)の開発フレームワーク「Cloud Foundry」がベース。今回は、クラウド統合や“モノのインターネット(Internet of Things:IoT)”、データ分析、開発と運用が連携する“DevOps”などの分野で拡充されている。

 クラウド統合では、APIで企業内外のシステムを連携できるようになっている。ファイアウォールの外側でクラウドのアプリケーションやデータと、ファイアウォールの内側で稼働する、IBMが言うところのSoRをAPIで連携できるという。APIを活用することで、“API経済圏”から得られる利益を拡大できるとしている。

 IoT関連では、M2M(Machine to Machine)に搭載される端末から送信されるデータをクラウド上などでリアルタイムに集約できるという。自動車やウェアラブル端末、スマートフォンなどから生成されるデータや位置情報に基づいたデータを管理したり分析したり、可視化できるとしている。

 データ分析関連では地理情報や時系列データ、予測スコアリングなども提供される。DevOps関連では「DevOps Continuous Integration」や「DevOps Mobile Quality Assurance(MQA)」などが追加された。

Mark Jen氏
Square Mark Jen氏

 DevOps Continuous Integrationは、アプリケーションの開発工程のスピードを加速できるという。アプリケーションの機能を一部改良すると、自動的にバグなどがないか検証されるような仕組みが搭載されるようになる。DevOps MQAは、モバイルアプリのアプリストアでの格付けを監視して、モバイルアプリの何が問題なのかといったことを分析できるという。モバイルアプリの反応速度が遅いということが分かれば、このサービスを活用することで改善できるとしている。

 基調講演ではBlueMixが実演された。モバイル決済サービス「Square」を提供するSquareのMark Jen氏が、Squareのトランザクション処理を企業のバックエンドシステムに組み込むところを見せた。Jen氏はキーボードを叩くことなく、マウスで操作。作業は数分で終了してしまった。ハードコーディングせずに、最初のコンパイルでシステムが通っていることを観客に見せた。

 この実演を見せたLeBlanc氏は「従来の企業システムに、これほど簡単にSquareのトランザクション処理を実装できるか」と語り、BlueMixの有効性をアピールした。

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