佐相氏は最後に、「研究開発だけでなく、迅速なビジネスの実践に向けた技術戦略をにらみながら、先端技術をベースとした富士通グループ全体での共創に取り組んでいきたい」と語り、「イノベーション=インベンション(発明)×ビジネスモデル」という式を掲げた。その意図するところが、冒頭の発言である。
今回の記者説明会は、富士通副社長から4月1日付けで富士通研究所の社長に就任した佐相氏のお披露目の場ともなった。今後の同氏の舵取りにも注目しておきたい。
「従来のセキュリティ対策を回避する潜伏型攻撃がこれから増えてくる」 (マカフィー Bruce Snell マーケティング本部ディレクター)
マーケティング本部ディレクターBruce Snell氏
マカフィーが先ごろ、次世代ファイアーウォール製品「McAfee Next Generation Firewall」を発表した。同社マーケティング本部テクニカル・ソリューションズ ディレクターの Bruce Snell(ブルース・スネル)氏の冒頭の発言は、その発表会見で、新製品が対応する脅威について語ったものである。
新製品は、米McAfeeが昨年買収したフィンランドのStonesoftの製品をベースにしたもので、従来からの脅威への対応に加えて、高度な検知回避技法(Advanced Evasion Techniques:AET)を備えた潜伏型攻撃からの保護、大規模環境での可用性を実現できるとしている。
新製品の詳しい内容については関連記事を参照いただくとして、ここではあまり耳慣れない「AET」という言葉に注目したい。
Snell氏の説明によると、AETはここ数年、大きなセキュリティの脅威として注目を集めている標的型攻撃(Advanced Persistent Threat:APT)をさらにパワーアップさせる技術のようだ。例えば、攻撃コードを分割し、正常なパケットに混入させて検知を逃れた後、攻撃コードを再構築するようなものがあり、その種類は8億通りにも及ぶという。
さらに、AETはファイアーウォールや不正侵入防止システム(IPS)のようなネットワーク上のセキュリティコントロールを回避するために、さまざまな回避技術を組み合わせて使用しているという。
新製品はこのAETに対処できる点が最大の特徴で、すでにStonesoft時代から欧州の政府機関やサービス業界、金融業界などで導入実績が数多くあるという。
セキュリティ分野の専門用語は多種多様で内容も難しいケースが少なくないが、APTと同様、AETもこれから増加してくるとみられるだけに、しっかりと把握して対策を講じておきたいものである。