オフィスからモバイルへ--シトリックスが推進する次世代の“労働環境”とは

鈴木恭子 2014年05月08日 13時36分

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 「“モバイル”という言葉を聞いて何を想像するだろうか。多くの人はスマートフォンやタブレットといった“デバイス”を思い浮かべるだろう。しかし、真の“モビリティ”は“人”が移動することで発生する。つまり、デバイス単体ではなく、人の移動に附随する時間や空間までを包含し、いつでもどこからでも“人”がほしいデータにアクセスできる環境こそが“モバイル”だ」

 こう語りかけるのは、米国Citrix Systemsで最高経営責任者(CEO)を務めるMark Templeton氏だ。

Mark Templeton氏
Citrix Systems CEOのMark Templeton氏。同氏は年内での退任することが公表されており、今回が最後の基調講演となる。登場時にはスタンディングオベーションで迎えられた

 同社の年次イベント「Citrix Synergy 2014」が米国時間5月6日から3日間の日程で開幕した。会場となったカリフォルニア州のアナハイムコンベンションセンターには、ユーザー企業やパートナー企業を中心に約1万人が集い、同社によると過去最大規模というイベントとなっている。

 2013年のイベントで同社は、「Going Mobile(モバイル化の推進)」をキーワードに掲げ、モバイル機能を強化した製品を発表した。今回のイベントでは、そうした製品の連携でもたらされる「エンタープライズモビリティ」の方向性が示された。

 その1つが企業のモビリティ戦略を支援する「Citrix Workspace Suite」である。これは、モバイルデバイス管理製品の「Xen Mobile」、デスクトップ仮想化製品の「XenDesktop」と「XenApp」、企業向けオンラインストレージ製品「ShareFile」が1つになったスイートで、ファイルの同期と共有、WAN最適化、アクセスゲートウェイなど同社の主要な技術を包含している。

 これらの機能を1つの製品として提供することで、企業はエンドユーザーが所有するPCやスマートフォン、タブレットといったモバイル環境を総合的に管理、保護することが可能。エンドユーザーはデバイス環境を気にすることなく自身のアプリケーションやデータ、サービスにアクセスできる。ライセンスはユーザー単位となっており、「包含されている製品を単体で購入するよりも割安」(同社)という。

 Citrixは、2014年度の事業戦略として「Mobile Workspaceの推進」を掲げている。同戦略は「あらゆるネットワーク、クラウドを利用する、あらゆるデバイスに対してセキュアなアプリ、データ、サービスを一体化する」というもの。Workspace Suiteはそれを具現化した製品と言えるだろう。

 Workspace Suiteの中でも、デモンストレーションに最も時間を割いたのが、ShareFileである。同製品は「Dropbox」や「Google Drive」、「Microsoft OneDrive」といったクラウドストレージとも連携する。セキュリティ面では企業が独自の暗号化キーを所有することで強化を図った。Officeドキュメントの編集やPDFへの注釈挿入などの機能も追加されている。

職場環境はオフィスからモバイルにシフトしていくという
既存の職場環境(左)とこれからの職場環境(右)。オフィスからモバイルにシフトすると示した

 こうした機能強化についてTempleton氏は、「今後は、デジタルネイティブな“ミレニアム世代”が働きたいと思う職場環境を構築することが重要だ」と力説する。それには、既存のワークフローを根底から見直す必要があるというのが、同氏の見解だ。

 「今までは、従業員が組織にあわせて働いていた。しかし今後は、組織(インフラ)が従業員に合わせ、いつでも、どこでも、どんなデバイスにも従業員が必要とする労働環境を提供できるようにしなければならない。それを可能にするのが、Workspace Suiteだ。労働環境にモビリティ(動性)を取り入れることで、企業はビジネスの敏捷性を向上できる」(Templeton氏)

 もう1つの発表は、DaaS(Desktop as a Service)を提供するクラウドベースの「Workspace Services」である。これはWorkspacesを構築するためのプラットフォームで、「Amazon Web Services」や「Microsoft Azure」、Cisco Systemsが提供する「Intercloud」などをサポートする。パブリックやプライベート、ハイブリッドのいずれのクラウドであるかを問わず、モバイルデスクトップサービスを提供できるという。

Workspace Servicesの概念図
Workspace Servicesの概念図

 Workspace Servicesで企業は複数のクラウド間でDaaSを管理できるほか、アプリケーションの配布や展開を短時間で実行できるという。同社の独自技術であるHDXテクノロジによる配信で、低帯域ネットワークやWAN環境にかかわらずパフォーマンス最適化が図られているという。同プラットフォームはAzure上で構築されている。

 Templeton氏は、「企業はエンドユーザーにデバイスではなく、デバイスがもたらす価値(サービス)を提供する方向にシフトするだろう。デスクトップやアプリケーションをサービスとして提供する傾向は、今後も継続する。そうした企業やエンドユーザーのニーズに応えられるのが、Workspace SuiteでありWorkspace Servicesだ」と強調した。

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