伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は、同社の仮想デスクトップ基盤を支える環境にスケールアウト型ストレージ「clustered Data ONTAP」を採用した。ネットアップが5月9日に発表した。
ネットアップの専用OS「clustered Data ONTAP」を搭載したストレージクラスタの導入により、仮想デスクトップ基盤の可用性を向上させ、データ重複排除機能「NetApp Deduplication」を活用し、コストやファイル共有プロトコルである「SMB3.0」によりストレージシステムの運用性を向上させたという。
CTCは現在、次世代の情報インフラを整備するプロジェクト「eWork+@CTC」を進めている。CTCは、eWork+@CTCを進めるなかで、従来型のPC/シンクライアント環境に代わって、業務環境とセキュリティを高度に両立させ、社内のコミュニケーションやコラボレーションを活性化させるクライアント環境を検討した。CTCがクライアント環境に求めた要件は「ワークスタイル改革や事業継続につながる」「事業部門やユーザごとに異なるソフト、アプリケーションなど、ユーザのニーズに応えられるクライアント環境を提供できる」「タブレットやスマートフォンなどの端末やOSからアクセス可能なクライアント環境」などだった。
CTCは、これらの要件を検討するなかで、Windows Server 2012 R2ベースで運用されるMicrosoft VDI(Virtual Desktop Infrastructure)による仮想デスクトップ基盤の導入を決定した。また、この基盤を支えるストレージシステムには、運用してきた実績や可用性、運用性、VDI基盤との親和性の高さなどから、clustered Data ONTAPに基づくネットアップのストレージを採用することになったという。
仮想デスクトップ基盤でのclustered Data ONTAPの導入メリットとしてストレージシステムの運用性向上、ネットアップ独自のデータ重複排除機能「NetApp Deduplication」による70~80%のデータ重複排除率などを挙げた。
CTCは、2013年9月に仮想デスクトップ基盤の構築を完了、この2月から約400ユーザーで全社向けのトライアル運用を開始している。仮想デスクトップ基盤を支えるストレージとして、2ノード構成の「NetApp FAS3220AE」を関東と関西のデータセンターにそれぞれ導入し、両データセンター間でHyper-V レプリカ機能による仮想マシンの複製をとることで、業務継続性を高めた。
また、クラスタを構成する各ストレージコントローラには、ネットアップのフラッシュ技術に基づくキャッシュモジュール「Flash Cache」を搭載し、ソフトウェア更新やユーザログインが多く発生するような局面でも、仮想デスクトップのパフォーマンスを高めた。さらに、仮想OSイメージ領域に重複排除機能「NetApp Deduplication」を適用することで、70~80%のデータを重複排除し、ディスク効率を向上させた。
さらにWindows Server 2012 R2とclustered Data ONTAPの連携による強みを生かし、Windows Server に付属する仮想化システム「Hyper-V」とNetAppストレージ間の接続にはSMB 3.0を採用することで、ストレージの運用性を向上させている。
構成図