技術者を“使い捨て”にしない知恵を出せ
実は、こうしたやりくりは先々を考えての苦肉の策とも受け取れる。というのは、目白押しの大型システム案件が2016年に無事に稼働すれば、その後、一気に技術者が余剰人員になる可能性があるからだ。業界関係者の間では、東京五輪が開催される2020年までは大型案件を含めてIT投資が引き続き好調に推移するのではないかとの見方もあるが、それにしてもその後の反動を不安視する向きは少なくない。
果たしてグループ会社やパートナー企業とのやりくりで技術者不足を乗り切れるのかという懸念もあるが、さらに悩ましい問題が立ちはだかっている。それは、技術者たちのスキルアップの問題だ。
先に挙げた大型システム案件は、旧態依然の技法を踏襲した開発スタイルが多い。その間にもクラウドをはじめとした技術革新はどんどん進む。大型システム案件にかかり切りにならざるを得ない技術者たちのスキルが2016年あるいは2020年以降、果たして通用するのかが懸念される。
つまり、当面の技術者不足が、実は技術者自身の首を絞めてしまいかねないのである。こうしたマイナスのスパイラルを引き起こさないようにするために、どうすればよいのか。ITベンダー各社には、技術者を“使い捨て”にしないためにも知恵を絞り出す責任があるのではないだろうか。