ERPがあってのオムニチャネル戦略 - (page 2)

谷川耕一

2014-05-19 07:30

ERPあってのオムニチャネル

 今回大きなテーマとなっていたのがオムニチャネルだ。顧客とのタッチポイントは増えており、それを最適化するニーズが拡大している。このさまざまなタッチポイントを最適化する考え方は、リテールの世界で2年ほど前から始まった。店舗、Eコマース、モバイルなどで別々の対応をするのではなく、統一的なサービスを展開する。

 これを現状の顧客関係管理(CRM)ベースの仕組みで始めてしまうと、ERPとシステムが分断され、スムーズなオムニチャネルは実現できない。重要となるのは顧客とのタッチポイントは多様化してもバックエンドのシステムは1つになっていること。

 そもそものCRMは顧客中心にすべてのデータを集約し、最適化するものだった。ところが最近のCRMでは目的がリードジェネレーションやフォーキャストなどに偏りがちで「CRMというものが狭義の意味でしか使われなくなってしまった」とNelson氏は指摘する。ERPにある顧客による購買データこそが重要であり、それがあるからこそ顧客の生涯価値を最大化できるのだ。

 「CRMもERPもEコマースも、どのシステムからでも同じデータが見られるようにしなければなりません。共通のバックエンドで扱えるのが、オムニチャネルを展開するための技術の基本です」(Nelson氏)

 今回このオムニチャネルを実現するために、「SuiteCommerce Advanced」に新たなモジュールが加わった。これを使うことで、ユーザーがセルフサービスで扱えるカスタマーポータルを容易に実現できる。この事例の1つとして紹介されたのがテキサス州の調達システムだ。Amazon.comのような顧客体験を公共機関で調達部門のエンドユーザーにも提供したい、そんな発想で作られているのが「TxSmartBuy」というサイトだ。

 220の州政府機関と2200の市町村役場や学校区といった購買者があり、彼らからの注文を受け取り最適な商品を提示し購買が行える。システムの裏側にはサプライヤーが800ほどあり、販売するアイテムは240万を超える。常に最新の販売アイテムリストがNetSuiteに反映されている。サプライヤーとしては、3Mやキヤノンなどの大手ベンダーもいる。このシステムでやり取りされる売買は、年間で10億ドルにも達する。システムはITスキルがなくても利用できるよう容易なインターフェースになっているのも特長だ。

 このカスタマーポータルサイトは、世間でよく取り上げられるオムニチャネルとは少し異なるように思えるかもしれない。しかしながら、たとえば建設局で道路の補修をするために砂利を購入する。その際に集中購買により最適な価格と納期で購入できるだけでなく、いつどこの交差点に砂利を配送するかといったことまで、このサイトで一括して注文できるのだ。これは、カスタマーポータルサイトの後ろに商品の調達から配送といったERPが統合されているからこそ実現できる。

 砂利を工事現場で受け取るところも顧客とのタッチポイントととらえれば、このガバメントカスタマーポータルも1つのオムニチャネルの事例と言える。これはウェブで購入した商品を店舗でタイムリーに受け取る。これをスムースに実現するオムニチャネルとも同様であり、購買、調達、在庫管理、配送といったことを一元的に管理できるシステムが必須になるということでもある。

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