みなさんは以下の言葉をご存知だろうか。
“平凡なアーティストは模倣する、偉大なアーティストは奪う”
この言葉はApple創業者SteveJobsがPablo Picassoの発言を引用した言葉として有名な言葉である。今回は、UXから少し視点を広げたクリエイティブという視点から考えてみたいと思う。
最近、私の周囲には、クリエイティブとは「無から有を産み出すこと」だと考えている人が多いことに気付いた。「新しい発想ができない」「人と違う独創的なアイデアが浮かばない」などの悩みをよく聞く。また、「無から有を産み出す」人はクールだという風潮を感じる。
20代のころ、実は私も「無から有を産み出すこと」がクールだと感じていた。同時に「無から有を産み出すこと」ができない自分にも思い悩んでいた時期があった。
しかし、30代になって多くのクリエイティブな人と出会い、彼らと話をする内に、実は、クリエイティブとは「無から有を産み出すこと」だけではなく、「既存のモノを組み合わせることで新しいことを創り出すこと」もできることに気付いた。つまり、クリエイティブなことは、後天的に努力で学べるということである。
これは私にとって啓示であった。
1つの例として、YJキャピタルCOOの小澤隆生氏から学んでみよう。小澤氏は、自ら創業したビズシークを楽天に売却し、楽天でオークション事業を担当した後、楽天イーグルスの取締役として球団立ち上げを陣頭指揮。現在は、ヤフーグループで、YJキャピタルCOOであり、かつ、ショッピングカンパニー担当執行役員、CFO室兼務である。
私は小澤氏とは直接面識がないが、小澤氏のインタビュー記事や取り組まれていることの中で「異業種で似たようなビジネスモデルから新しい発想を取り込め」ということを言われている。
“例えば、時間軸と業界軸という2つの視点を持つという発想法があります。過去の事実から現在の事例を分析するのが時間軸。一方、異なる業界を横断的に比較・分析するのが業界軸です。”(本文より抜粋)
小澤氏はこの発想を軸に楽天球団のファンクラブを、従来の子供向け、女性向け両方2000円均一というのではなく、10万円、1万円、3000円と松竹梅モデルを導入する。この松竹梅モデルは、ホテルのスイート、ジュニアスイート、ツインのような異なる業界のプライスモデルを野球のファンクラブモデルに適応させて創り出している。
「既存のモノを組み合わせることで新しいことを創り出す」の好例だ