トレンド4=ハイパースケールを味方につける:ハードウェアの復権(Harnessing Hyperscale: Hardware is back (and never really went away))
高性能な専用機(アプライアンス)が復権している。事例としては、Unileverが全世界から収集される46億件のレコード、27Tバイトのデータをリアルタイムに分析し、在庫回転率6.5を実現していることを紹介した。Facebookは、独自仕様のハードウェアで電力消費を24%削減、コストを38%削減し、競争力を強化した。General Motors(GM)では、チャネルやプロセスのデジタル化、テレマティクスの進展などを踏まえ、ハードウェアをビジネス上の差別化要因として再定義。新規ビジネスに必要なIT環境を迅速に立ち上げる環境を整備した。
トレンド5=アプリケーションビジネス:ソフトウェアを競争力の源泉に(Business of Applications: Software as a core competency in the digital world)
APIを開放し、他社を巻き込んだエコシステムを作ることが重要に。事例としては、Amazon Web ServicesとしてAPIを公開したAmazonが代表例。また、グローバル物流ネットワークのデータを活用し社内オペレーションを効率化させているDHL、APIを開発者やパートナーに公開し、APIプラットフォームで新サービスを開発できるようしているAT&Tなどがある。 国内では、マネックス証券がAPIを公開し、個人トレーダーのトレーディングアプリ作成をうながしユーザビリティ向上につなげている。API管理をサービスとして提供するAPIアグリゲーターのApigeeなどAPIをめぐって新しいエコシステムも生まれている。
トレンド6=回復力をデザインする:「障害ありきの開発」がノンストップビジネスのカギに(Architecting Resilience: “Built to survive failure” becomes the mantra of the nonstop business)
事業継続できる“Always on”のインフラが求められるようになり、“レジリエンス(弾力)”がカギになった。事例としては、サーバ構築の自動化、構成管理ツール「Chef」を使ったサーバ運用管理の自動化を進めるFacebook、社内に障害をあえて起こす専門チーム「Chaos Monkey」を設置し継続的改善を行うNetflixを紹介した。
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立花氏は、まとめとして「デジタル化には到達度に応じて大きく3つのステージがある。多くの企業はまだステージ1であり、今後は大きくの企業にチャンスがある。中でも伝統的企業が価値を想像し、競争優位を築くチャンスだと考えている」と強調。同氏の言うステージ1は、モバイル機器採用やRFID採用、ブロセス自動化など、プロセスやチャネルをデジタル化した段階だ。
ステージ2は、それをさらに進め、ウェアラブルデバイスを付けた衣料品の展開、GPSやセンサを活用した新サービスの展開など、製品やサービスをデジタル化した段階。そしてステージ3は、それら製品やサービス、ビジネス、企業などが連携する「デジタルビジネスコンバージェンス」となる。
その上で「デジタル化が進み、デジタルビジネスコンバージェンスが実現されるようになると、業界共通、業界横断の新しいビジネスモデルが生まれ、さまざまイノベーションが創出されるようになる」と長期的な展望を示した。