Ubuntu Linuxの開発を支援するCanonicalの創設者であるMark Shuttleworth氏は、アトランタで開催のOpenStack Summitで基調講演を行い、「Ubuntu OpenStack」クラウドおよび「Juju」関連の新しい取り組みを多数発表した。
Shuttleworth氏は予期していなかったかもしれないが、さまざまな発表のうち、OpenStack関係者の注意を最も引いたのは、Canonicalのクラウド・イン・ア・ボックス「Ubuntu Orange Box」だった。
OpenStackクラウド・イン・ア・ボックスであるOrange Boxは、引きずって運べるように設計されている。サイズは、キャスター付きスーツケースより少し小さい。本体自体の重さは37.4ポンド(約16.96kg)で、さまざまな付属品と一緒にフライトケースに入れたときの重さは70ポンド(約31.75kg)なので、座席の上に置くには少し重すぎる。しかし、CanonicalのプロダクトマーケティングマネージャーであるMark Baker氏は、「Orange Boxは何とか委託手荷物として預けることのできる軽さだ」と述べている。
Orange Boxの内部には、「Ivy Bridge」(「Core i5 3427U」)CPUを搭載するIntel製マイクロサーバ10台が収められている。各ミニサーバは4基のコアと「Intel HD Graphics 4000」、16GバイトのDDR3 RAM、128GバイトのSSDルートディスク、ギガビットイーサネットポートを備える。1台目には、「Centrino Advanced-N 6235」Wi-FiアダプタとWestern Digital製の2テラバイトのハードドライブも搭載されている。これらはすべてD-Link製ギガビットスイッチで接続され、クラスタを形成している。総合すると、40基のコアと160GバイトのRAM、1.2テラバイトのSSDのクラスタがボックス内に収められていることになる。
Orange BoxはCanonicalとコンピュータのOEM受託を手がける英国のTranquil PCが設計した。価格は7575ポンド(およそ1万2750ドル)。
Shuttleworth氏は基調講演の中で、「Orange Boxを使えば、あらゆることが可能だ」と述べた。それぞれのOrange Boxには「Ubuntu 14.04」と「OpenStack Icehouse」が搭載されている。さらに、すべてのユニットにはクラウド管理および配備ツールである「Juju」と「Metal-as-a-Service」(MaaS)も含まれる。Shuttleworth氏は、「これらは分散型システムの使い方を学ぶ素晴らしい方法だ」と付け加えた。
具体的には、Canonicalはこれらを「JumpStart Training」に利用している。JumpStartはOpenStackなどをカバーするCanonicalのトレーニングプログラムで、Orange Boxも対象に含まれている。ユーザーは2週間にわたってトレーニングを受けることが可能で、JujuとMaaSでOpenStackを運用する方法を学ぶことができる。丸2日間のテクニカルトレーニングも含まれる。
したがって、Canonical側から見ると、Orange Boxの真の狙いは、OpenStackに対するUbuntuのアプローチをユーザーに少し体験してもらうことだった。Orange Box自体は売れ筋製品として意図されたものではなかった。Baker氏は、「これは目的を達成するための手段だ」と説明した。少なくとも、Canonicalはそう考えているようだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。