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イノベーションに制度はいらない--チームラボ 代表 猪子氏 - (page 3)

吉澤亨史 山田竜司 (編集部)

2014-05-22 17:44

 チームラボでは規則やルールは少ないですが、(これまで積み上げてきた)抽象化した方法論やプロセスは積極的に社員に使ってもらっていますし、うまくいかなかったときはとにかくプロセスを見直してもらっています。


必ずディスプレイを置いて、各自がノートパソコンを持ち寄ってディスカッションする

 例えば、“Google Docsのタイトルのつけかた”や、メールの宛先の書き方などもよさそうなものは共有します。また、ディスカッションエリアには必ずディスプレイを置いて、各自がノートパソコンを持ち寄ってディスカッションするスタイルを推奨しています。余計な説明の手間を省いて情報を共有できるディスプレイは会議に不可欠です。

 事業部などは設定せず、ソフトウェアやハードウェア、センシング、3Dのアニメーション、建築など専門分野ごとにチームが分かれますが、業務はそれぞれの専門分野からの集まりであり、プロジェクトを組み、プロジェクト単位で動いています。

 プロジェクトにはリーダーがいますが、お互いの専門性を尊重しているため、いわゆる上下関係がないフラットな状態にしています。新入社員でも何を言っても構いません。

 プロジェクトごとに席を配置して人口密度の高め、コミュニケーションを誘発するようにします。席替えも毎週といっていいほどあります。私も仕事で世界中飛び回りますが、テキスト情報だけで判断し、意思決定することは少なく、日本に帰ってきたときにまとめて会議しています。


ほとんどの会議スペースに壁を設けず、参加者は漏れ聞こえる情報から刺激を得ているという

技術をどうキャッチアップするか

--技術に特化している印象もあります。どのようにキャッチアップしてるのでしょうか。

 意図的に最新技術のキャッチアップをしているわけではないんです。ただ社内にエンジニアが多く、テクノロジ好きが多いので重要そうな分野は個々に情報を集めていますし、プロジェクト単位で研究しているケースもあります。メディアの記事などを追うのではなく、独自に研究しています。

 先日より、DMMとの3Dプリントサービスで協業しています。3Dプリンタは米国では図書館に配布するなど積極的なのに、日本はゆっくりしています。3Dプリントはインフラのようなものなので、資本力やユーザーへのリーチ力のあるDMMが提供することに社会的な意味があります。

 最新のテクノロジでもウェアラブルデバイスについては、みんなが興味をもっている方向にはあまり興味がないんです。エンターテインメントなどの特殊な環境では可能性があると思います。アミューズメントやゲーム、スポーツといった非言語の分野ですね。街で仮想的にサバイバルゲームをするといった活用法はあると思います。

 そもそもシリコンバレーのメインストリームは「個人の脳を拡張すること」だと考えています。PCは人間の脳の計算能力と記憶力を上げたもの、インターネットも個人の“探す”能力や自分の人間関係を(ソーシャルメディアやメールなどで)拡張しているとも言えます。

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