PCやインターネットによる「何かを探すこと」や「コミュニケーション」は外部に自分の脳があるとも言えるものです。そのデジタル領域とのインタフェースがキーボードからマウス、タッチパネル、音声と進化し、その先にメガネなどウェアラブルデバイスがあるという認識です。
どんどん脳そのものに近づいていき、境界線が曖昧(あいまい)になっていく進化をたどるでしょう。そういった分野は世界を前に進める意味で重要な仕事ですが、その担当はシリコンバレーで、われわれではないと考えています。
われわれは違う面をできたらいいと考えています。それは“個人の脳の拡張”ではなく、“物理的な空間そのものの拡張”です。
デジタル領域の製品やサービスは自分が使いたいという意志が大前提ですが、意志とは関係ない部分を担いたいと思います。例えばオフィスの中に大きい木があったら、人のテンションや行為、ふるまいは変わります。そういった、集団で無意識なものを変えることに興味があります。チームラボはデジタルによってここでいう木を作りたいと考えています。
--今後のビジョンは。
大きなポイントの1つは2020年の東京オリンピックでしょうか。日本にはまだまだヒントにあふれていてほしいです。誇示するのではなく、愛されたり尊敬されたり、ヒントにあふれたおもしろい国だと思ってもらえればいいなと思います。そういうことに携わっていられたら嬉しいです。一方で、自社のマーケットをよりグローバル化して、世界中を相手にいろいろなものを売りたいと思っています。
すでにアート事業の売り上げの大半は海外からですが、自身が手掛けた「チームラボ 学ぶ!未来の遊園地」などをグローバル化できればと思います。それまでクリエイティビティを積み上げて、自分が育った文化の強みを生かしたい。強みをを知りたくて歴史をひも解きました。
歴史は統計みたいなものですから、集団としての人間がどのような結果を生んできたか、どういうものが積み上げられてきたか、そういった文化の本質を把握してこれからも新しいものを生み出していきたいと思います。