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2050年、ビッグデータはいかにして90億人の食生活を支えるのか(前編) - (page 2)

Lyndsey Gilpin (TechRepublic) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2014-05-29 07:30

 Monsantoは農業におけるビッグデータが数十億ドル規模の投資に見合うと考えたのだ。このことは、同社が2012年5月から2014年2月にかけて複数の農業データ分析企業を買収したのを見れば明らかだろう。こうしたテクノロジには収穫量を伸ばす可能性が秘められており、人口増加とリソースの減少という時代に近づいていくとともに、農業は世界で最も重要な職業になるはずだ。

 農業データはとても強力である一方、危険でもある。誰かが操業データを知り得た場合、いつどこで収穫が行われ、どれだけの収穫量があり、その価格はどれくらいか、そして農場の利益までもが明らかになってしまう。こういったデータが誤って誰かの手に渡った場合、それが近所の人であれ、種苗販売者であれ、肥料会社であれ、大規模農業企業であれ、その脅威は圧倒的なものとなる。また、その後データが競合相手に販売されたり、土地の取引で隣人に足下を見られるということもあるだろう。

 農業従事者や大規模農業企業は精密農業に向けた万能の道具を見つけようと競い合っている。精密農業に向けたテクノロジとは、農地における収穫量の変動要因を測定し、それに対応するという農業管理のコンセプトであり、しばしば人工衛星とGPS追跡システムが使用される。このようなシステムは、農場で先進のテクノロジシステムが利用可能になった結果、最近ではどんどん普及してきている。2012年に実施された大豆農場に対する調査では、この種のテクノロジの使用によって、種子や肥料、農薬を15%節約でき、投資の回収も迅速化したことが示されている。教授であり、国務省の科学アドバイザーも務めるRaj Khosla氏が引き合いに出した別の調査では、精密農業に向けたテクノロジを1つ採用するだけで収穫量を16%増やし、水の使用量を50%削減できたという成果が示されている。

 農業従事者が十分真剣になれば、そして精密農業の能力を適切に引き出せれば、90億人分の食料をまかなうために生産量を倍増させるとともに、農業分野に対する社会の認識を変えられる可能性もある。

 そして、こういった警告に耳を傾けなければ、50年後のわれわれの世界がどうなっているのかは皆の知るところだ。この点については、漫然と農業を続けるのではなく、積極的に農業に取り組んでいる人であれば、誰に尋ねても見通しは暗いとはっきり語ってくれるはずだ。

大きな農業ビジネスと、小さな信頼

 Douglas Hackney氏はEnterprise Groupのプレジデントであり、著作家であり、講演家でもある。この差し迫った話題を一般大衆に広めようとしている他の人々と同様に、同氏は緊急性の高さを声高に叫んでいる。同氏にとって、あらゆるものごとがすごい勢いで起こっているため、それに対処できるだけの速さで話題を広めていくことができないのである。データコンサルタントであり、農業従事者の経験もある同氏は、この問題が双方の世界にどのように影響するのかを理解している。

 Hackney氏は「農業従事者は他の業界の人々とは違っている(中略)彼らは会社全体の運命を(1つの意思決定に)委ねることなど滅多にない」と述べるとともに、「農業従事者は毎年春にそういった賭けに出ており、毎年危ない橋を渡っている」と述べた。

 信頼はこの世界における通貨とも言える。Hackney氏によると、農業従事者が毎年行っている数多くの意思決定にまつわる情報を提供する相手は、信頼できる人々である必要があるのだという。農業の世界は種苗販売者や除草剤販売者、肥料販売者、地元のトラクターディーラーに全幅の信頼を置くように進化してきている。そして今ではデータ収集や予測分析を手がける企業だ。この信頼が裏切られた場合には代替が必要となる。

 1940年代から1960年代後半にかけて緑の革命が起こった。この時期、研究と技術のイニシアティブによって世界的に、特に発展途上国における農作物の生産量が飛躍的に増加した。Norman Borlaug氏は緑の革命の父と呼ばれており、同イニシアティブによってこれらの国家における農作物の生産量と消費量が大きく増加したため、同氏のおかげで数百万人の人々が救われたと主張する人もいる。

 こういったテクノロジには、収穫量の向上を目的とする近代的な灌漑事業や農薬、合成窒素肥料、育種法による品種改良が含まれていた。

 これらのテクノロジは世界の農業に多大な影響を与えた。ある調査結果によると、緑の革命以後、発展途上国の人々の消費カロリーは25%以上増えたという。

 それ以来、農作物における主要な進展は、害虫に耐性のある農作物や植物を作り出すための遺伝子組み替え(特に大規模農場での単式農法における)や、より強力な農薬(DDTを思い浮かべてほしい)、植物を守るための肥料といったものとなっていた。

 農薬をはじめとするこのようなイノベーションによって、農作物の栽培プロセスの利便性と効率性は高まり、われわれが現在知っている農業の世界への扉が開かれたのだ。今や農業と言うと何を思い浮かべるだろうか?

 Monsantoだ。

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